2026年度診療報酬改定 リハビリ分野の改定項目の整理

2026年度診療報酬改定に向けて、中医協総会で整理された議論の内容は、医療提供体制の再構築や人材確保、地域包括ケアの強化など、多岐にわたる重要な論点を含んでいる。

「中医協 総-7(8.1.14)令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」では、2040年を見据えた医療機能の分化・連携や、医療DXの推進、質の高い医療の実現に向けた方向性が示されている。

特にリハビリテーション分野では、早期介入の推進、多職種連携の強化、アウトカム評価の見直しなど、今後の実務に大きく影響する改定ポイントが整理されている。

以下に要点をまとめた。

リハビリ分野に関係する項目まとめ

Ⅰ:医療従事者の業務効率化・基準緩和関連
疾患別リハビリテーションや病棟業務に専従する PT・OT・ST の業務範囲拡大・明確化(Ⅰ-2-5-(5))

Ⅱ:地域包括ケア・入院医療におけるリハビリ関連
地域包括医療病棟でのリハビリ・栄養・口腔の一体的取組を推進し、加算体系を見直す(Ⅱ-1-1-(9))
回復期リハビリテーション病棟入院料等の施設基準・要件の見直し(Ⅱ-1-1-(10))
高次脳機能障害患者の退院支援体制を回復期リハ病棟入院料に追加(Ⅱ-2-2-(3))
リハビリ・栄養・口腔連携体制加算の見直し(地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟も対象化)(Ⅱ-2-3-(1))

Ⅲ:質の高いリハビリテーションの推進
Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進
退院時リハビリテーション指導料の対象患者要件の見直し(Ⅲ-4-(1))
医療機関外での疾患別リハビリの上限単位数の見直し(Ⅲ-4-(2))
運動器リハ等の算定単位数上限緩和の対象患者の見直し(Ⅲ-4-(3))
疾患別リハビリテーション料を訓練内容に応じた評価へ見直し(Ⅲ-4-(4))
リハビリ総合計画評価料の書類簡素化(Ⅲ-4-(5))
リンパ浮腫複合的治療料の評価見直し(Ⅲ-4-(6))

Ⅲ-4-1 発症早期からのリハビリ介入の推進
入院直後のより早期リハビリ介入を評価(Ⅲ-4-1-(1))

Ⅲ-4-2 土日祝日のリハビリ体制の充実
休日リハビリの新たな評価を導入(Ⅲ-4-2-(1))

Ⅲ-2 アウトカム評価関連(リハビリ領域)
回復期リハビリテーション病棟のリハビリ実績指数の算出方法・除外基準の見直し(Ⅲ-2-(1))

改定の全体像

今回の改定は、物価高騰と医療従事者の賃上げを同時に吸収するための財源再配分が大きなテーマである。

そのため、初診料・再診料・入院基本料といった基礎点数が底上げされ、特に病院に対して手厚い補填が行われる構造となる。

これにより、医療機関の経営安定化が進む一方、診療所と病院の収益構造の差が拡大する可能性がある。

また、賃上げ財源が診療報酬に組み込まれることで、看護師・リハビリ専門職・薬剤師など幅広い専門職の給与改善が制度的に担保される。

結果として、人材確保競争が激化し、医療機関はより戦略的な人事・運営体制の再構築を迫られることになると予想される。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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