2026年度診療報酬改定 答申でリハビリはどう変わる?改定項目の全体像と管理者がやるべき運用設計

2026年2月14日に診療報酬改定の答申が発表された。

どの病棟で、いつ、何を、誰が、どの程度で実施し、どの機能を改善させるのかを、点数と要件で細かく指定している。

したがって、議論すべきは、抽象的な方向性ではなく、改定項目が現場運用をどう変えるかである。

急性期は二層化し、病棟内ADL維持が評価対象になる

急性期は急性期病院A・Bの二層で新設され、点数も明示された。

急性期病院A一般入院料は1,930点、B一般入院料は1,643点である。

両入院料ともに、手術や救急受入の要件が厳しく設定されており、急性期病院の多くは到達できないと思われる。

さらに、急性期一般入院料4および急性期病院B一般入院料の一部病棟で、看護配置基準を超えて看護職員に加え、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士等を配置し協働する場合に算定できる看護・多職種協働加算が新設される。

これは、急性期におけるリハビリの価値を、訓練室での単位ではなく、病棟でのADL維持・低下予防という病棟機能として評価するものである。

ただし、この新加算は病棟が限定されているため、モデル事業的な要素が強く、2028年度の改定で本格的に拡大する可能性が高い。

地域包括医療病棟は手術・緊急入院の有無で分岐

地域包括医療病棟は、誤嚥性肺炎や尿路感染症など高齢者に頻度が高い救急疾患の受入を意識しつつ、平均在院日数、ADL低下割合、重症度・医療看護必要度の基準見直しを行い、医療資源投入量や急性期併設状況に応じた評価を導入する。

具体的には、手術や緊急入院の有無で入院料を分け、急性期病棟の併設がない場合の診療を更に評価する。

点数も、地域包括医療病棟入院料1は入院料1が3,367点、入院料2が3,267点、入院料3が3,117点、地域包括医療病棟入院料2は入院料1が3,316点、入院料2が3,216点、入院料3が3,066点と段階化された。

ここでリハビリ部門が見るべきは、包括期の病棟単独運営でも救急受入の負担を評価する、と明文化した点である。

救急で入ってきた高齢者に対して、早期離床、嚥下、栄養、口腔、排泄の立て直しを病棟内で完結させる仕組みがより重要となってくる。

リハ・栄養・口腔は再編

地域包括医療病棟では、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的取組を推進する観点から加算体系が見直される。

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、加算1が1日150点、加算2が1日90点として新設され、地域包括ケア病棟でも算定可能となる。

リハだけ頑張っても評価されない、栄養だけ整えても評価されない、口腔だけやっても評価されない。

病棟運用を三位一体で組める病棟だけが加算を取り、組めない施設は置いていかれる。

入院後3日が勝負になる

発症早期の介入は、ついに配点が時間軸に沿って再配分された。

早期リハビリテーション加算は、入院した日から起算して3日目以内は増点し、4日目以降は減点、加算期間は入院から14日目までとする。

入院から14日限度で1単位につき60点、4日目以降は25点という設計に組み替わる。

さらに、土日祝の実施を評価するため休日リハビリテーション加算が新設され、休日にリハを行った場合は発症・手術・急性増悪から30日目までを限度として1単位につき25点を加算する。

平日と同等のリハを休日にも回せる勤務シフト、リスク管理、病棟の協力体制である。

加算は、その体制がある施設とない施設の差を、収益差として固定化する。

離床なし区分の新設と院外リハの上限

疾患別リハは、訓練内容に応じた評価へ見直し、離床を伴わずに行う場合の区分を新設する。

これは、ベッド上で完結する訓練を否定するのではなく、離床を伴う訓練の価値を別建てで見える化し、同じ単位として扱わない方向である。

離床は安全確保や人手を要する。

制度はそこに差を付け、離床を病棟文化にする施設を選別する。

また、医療機関外での疾患別リハは、入院中に合計3単位まで、ただし特定患者は合計6単位までと上限が明記される。

院外実施では、訓練場所との往復時間は実施時間に含まれず、常時従事者が付き添い、緊急時に医療機関へ連絡・搬送できる体制を求めるなど安全要件は引き継がれている。

制度は、生活期への橋渡しとしての院外訓練を認め、患者の活動量増加に着目している。

書類は統一される

リハビリテーション総合計画評価料は、複数の計画書様式を統一し、評価を見直す。

同時に、脳血管等・廃用・運動器リハにおける介護保険サービス利用が必要と思われる者への目標設定等支援・管理料等が廃止される。

回復期リハ病棟は強化体制加算で再序列化

回復期リハ病棟は、質の高い回復期リハ医療を推進する観点から、施設基準・要件を見直す。

入院料1の病棟を対象に、実績指数、排尿自立支援加算の届出、退院前訪問指導の実施割合等を要件とする回復期リハビリテーション強化体制加算が新設される。

さらに、重症基準の見直し、高次脳機能障害と脊髄損傷の追加、重症患者の退院時改善割合要件の削除、実績指数基準の見直し、FIM測定が望ましいことの明記、退院前訪問指導料の出来高算定化が並ぶ。

ここで制度がやっているのは、回復期の高位区分を、単なる単位量ではなく、排泄自立、在宅移行、アウトカム測定で担保する再序列化である。

実績指数の算出も具体に手が入る。FIM運動項目の歩行と車椅子の項目は高い方を採用し、排尿管理と排便管理はトイレ動作を含める。

除外対象の基準も、入院時FIM認知項目合計は24以下から14以下へ変更し、年齢80歳以上の除外を削除する。

加えて、入院時FIM運動項目合計20点以下の患者に対し、6単位超を実施した日が一定日数以上ある場合に除外する。

これは、回復期が単位を積めば良い場ではなく、限られた単位で歩行・移動・トイレという生活の中核を伸ばす場へと、評価軸を寄せてきたことを意味する。

まとめ

結局のところ、今回の答申が現場に突き付ける問いはシンプルである。

入院後3日以内に離床と生活機能の立ち上げを回せるか。
休日も平日同等に回せる体制を作れるか。
リハ・栄養・口腔を一体で設計し、加算を取れる病棟運用を作れるか。
回復期で排泄自立と退院前訪問を含む在宅移行の質を、要件として満たせるか。
そして、疾患別リハを離床の有無や院外訓練の安全要件を含めて設計し直せるか。

今回の答申はその現実を、点数、期間、上限、除外、体制という具体で示したのである。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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