管理職がやってはいけないこと ―ビジョンを示さずに指示命令を出すという過ち―

医療・介護・リハビリ現場において、管理職が最もやってはいけないことの一つが、ビジョンを示さずに指示命令だけを出すことである

「これをやっておいて」「とりあえず改善して」「数字を上げてほしい」。

こうした言葉は一見もっともらしいが、ビジョンが伴わない指示は、現場に混乱しか生まない。

ビジョンとは、「なぜそれをやるのか」「何を目指しているのか」という方向性である。

これが示されていない状態で指示が出されると、部下は何が正解なのか分からない状況に置かれる。

評価基準が見えず、判断軸も曖昧なため、部下は「怒られない答え」を探す行動に終始するようになる。

結果として、主体性は失われ、現場は指示待ちの空気に覆われる。

医療・介護・リハビリの現場は、利用者・患者の状態が日々変化する。

マニュアル通りにいかない場面こそが日常であり、現場判断の質が成果を左右する。

だからこそ、管理職は「やり方」を細かく指示する前に、「目指す姿」を明確に示さなければならない。

ビジョンが示されていれば、部下は迷いながらも考えることができる。

仮に選択を誤ったとしても、振り返りが可能であり、成長につながる。

しかし、ビジョンなき指示命令は、思考停止と萎縮を生むだけである。

管理職の役割は、答えを与えることではない。

えを考えられる土台をつくることである。

その第一歩が、ビジョンを言語化し、繰り返し伝えることである。


マネジメントに関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

関連記事