2025年9月の地域医療構想検討会では、2040年を見据えた医療提供体制の再構築が大きなテーマとして議論された。
特に、急増する高齢者救急に対応するためには、急性期と回復期の機能を兼ね備えた病床の整備が不可欠であるとの認識が共有された。
従来の「急性期」「回復期」といった明確な区分では、現場で求められる柔軟な対応に限界があり、今後は機能の重なりを前提とした再設計が進む見通しである。
この流れを受け、厚生労働省は病床機能報告制度の見直しを提起した。
とくに注目されるのは、「回復期」を急性期の一部機能も担う新たなカテゴリーとして再定義し、名称や定義そのものを変更する可能性が示された点である。
これにより、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟が、よりシームレスに急性期医療と連携し、高齢者救急や在宅復帰支援の中核を担う方向にシフトしていくと考えられる。
リハビリテーション医療にとって、これは大きな転換点である。
リハビリ職種は、これまでの「回復期における機能回復」から一歩進み、急性期段階から在宅までを一貫して支援する専門職としての役割が求められる。
予定入院前の身体機能評価や、急性期での早期離床・早期介入、退院支援カンファレンスでの方向づけ、さらに在宅での生活動作再構築まで、業務範囲は広がる一方である。
加えて、地域包括ケア病棟は今後、急性期対応力と回復期リハビリ機能の両立を図る「ハイブリッド型病棟」として再設計される可能性が高い。
医療と介護の連携が不可欠となる中で、リハビリ専門職が中心的な調整役として機能することが求められる。
2040年に向け、リハビリテーション医療は「治す医療」と「支える医療」の境界を越え、地域全体で患者の生活を再構築するプラットフォームとして進化していく時代が到来している。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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