リハビリ現場の運営への「無関心・非協力」をどう乗り越えるか~熱意なき職場を変える実践策~

筆者のコンサルティングにおいてリハビリテーション部門において「経営や運営に対する非協力」「業務改善への無関心」「専門職としての熱意の欠如」のご相談が多い。

制度改革や地域包括ケアの進展により、リハビリ部門にはチームで成果を出すことが強く求められているにもかかわらず、一部の現場では消極的な姿勢が組織の成長を阻んでいる。

臨床家一人ひとりの姿勢が、患者のアウトカムだけでなく組織全体の存続にも直結する時代である以上、この問題を放置することはできない。

診療報酬改定や介護報酬改定により、リハビリ部門には「質」と「成果」が数値として問われるようになった。

また、地域包括ケアや訪問リハの拡大により、多職種連携や患者家族との協働が必須となっている。

しかし、現場には依然として「自分の担当患者だけ診ればよい」「管理や教育はリーダーの仕事」という受け身の姿勢が残っている。

こうした風土は、人材育成の遅れ、キャリア形成の停滞、さらに離職率の上昇を招く。

現場の非協力や無関心は、もはや個人の問題ではなく、組織的リスクである。

現場の非協力が継続すると次のような問題が生じる。

1. 臨床への影響

非協力的な職員はカンファレンスや情報共有に消極的であり、結果としてチーム内で患者像が共有されず、評価や介入の一貫性が失われる。

これによりリハビリの効果が最大化されず、患者・利用者の満足度が低下する。

2. 教育・人材育成への影響

新人教育や学生指導に対して「自分には関係ない」という姿勢が広がると、教育文化が根付かず、組織の成長力が失われる。

結果として若手は学びを得られず、早期離職につながる。

3. 制度・経営への影響

アウトカム評価やリハビリテーション計画書の充実度は報酬と直結する。

記録や会議への非協力は、経営的な損失を生み出す。

さらに、チームの信頼関係が損なわれ、マネジメント層の負担が増大する。

4. キャリア支援への影響

自らキャリア形成に無関心な職員は、職場の刺激や学習機会を活かせない。

これにより職場は停滞し、やる気のある人材のモチベーション低下を招く。

筆者は熱意なき現場を変える実践策として次のような対策を助言することが多い。

1. ビジョンと成果指標の「見える化」

組織が掲げるビジョンや部門目標を日常業務と結びつけ、数値で進捗を共有することが有効である。

たとえば「FIMの改善度」「在宅復帰率」「ADL維持率」などを毎月提示することで、自らの仕事が成果に直結していることを実感させる。

2. 役割の明確化と小さなリーダーシップ

「誰が何を担うか」を明文化し、小さな役割でも責任を与える。

ケースカンファレンスの司会や勉強会のファシリテーターなど、小さなリーダーシップの経験を積ませることで、参加意識を高められる。

3. 外部刺激の導入

閉鎖的な現場ほど非協力が固定化する。

ゲストスピーカーや外部講師を招いたセミナーや他施設との合同勉強会を企画することは、熱意を再燃させるきっかけとなる。

4. 明日から実践できる工夫

「毎日1回はチームに自分の気づきを共有する」というルールを導入するとよい。

例えば、患者の歩容変化や家族の反応など、些細なことでも発言の習慣が協働の雰囲気を醸成する。

これは小さな積み重ねでありながら、組織風土を大きく変える力を持つ。

非協力や無関心は、どの職場にも潜む課題である。

しかし、制度改革や社会的要請が高まる中で、リハビリ部門に求められているのは「熱意と協働」である。

管理者だけでなく、現場の一人ひとりが主体性を持つことが、患者成果の向上と組織の持続的発展につながる。

小さな行動の積み重ねが、無関心から協働への転換を生み出すのである。

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

関連記事