「努力すれば報われる」はもう古い?リハビリ職種に必要な「キャリアの新常識」

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ職種には、まじめで誠実な人が多い。

患者さんのために知識を深めようと努力し、専門性を磨く姿勢を持つ人は今も少なくない。

かつては、夜遅くまで勉強し、休日もセミナーや学会に足を運ぶ姿が多く見られた。

しかし、最近ではそうした光景も減りつつあり、以前に比べると「努力を惜しまないリハビリ職種」は確実に減っている。

忙しさやモチベーションの低下、職場環境の変化など、背景にはさまざまな理由があるだろう。

それでもなお、真面目に努力を続けているリハビリ職種は確かに存在する。

「本当によく頑張っている」と感心するほどの人たちだ。

だが、そうした努力家ほど、陥りやすいキャリアの罠がある。

それが「努力すれば報われる症候群」である。

努力していれば、いつか給料が上がる。
努力していれば、いつか上司に認められる。
努力していれば、いつか良い職場に行ける。
努力していれば、なんとかなる。

このように信じているリハビリ職種は少なくない。

だが、キャリア理論の観点から見ると、これは非常に危うい考え方だ。

スーパーのライフキャリア理論では、キャリアとは「自己概念(self-concept)の実現過程」であり、努力はそのための必要条件にすぎない。

知識や技術を磨くことは大切だが、それだけでキャリアは動かない。

努力は自分を整えるプロセスにすぎず、社会や他者との関わりの中で価値を発揮して初めてキャリアになる。

成功するリハビリ職種と、報われないリハビリ職種を分けるのは、「努力量」ではなく「機会へのアクセス」である。

ここで重要なのが、プランド・ハプンスタンス理論(計画された偶発性理論)だ。

この理論では、キャリア形成の多くは偶然の出会いや出来事によって生まれるとされる。

そして、その偶然をチャンスに変えるには、好奇心・柔軟性・持続性・楽観性・リスクを取る勇気が欠かせない。

努力して専門性を高めた人が、偶然の機会を逃さず掴み取ることで、キャリアは大きく動く。

つまり「運」とは単なる偶然ではなく、準備された人に訪れる選択のチャンスである。

成功するリハビリ職種は運を待たない。自ら行動し、出会いを創りにいく。

社外研修、地域連携、SNS発信、異職種交流、これらの行動が、運を呼び込み、キャリアを拡張する。

社会や組織は、あなたに本当に必要なキャリア戦略を教えてはくれない。

なぜなら、組織にとって都合が良いのは安定して働く優秀な人材であり、独立的にキャリアを切り開く人材ではないからだ。

だからこそ、努力を“内向き”で終わらせてはいけない。努力を外向きに開き、自分を発信し、他者との交差点を増やすことが重要である。

キャリアは、自己と他者の相互作用の中で育つ。

どれほど知識や技術を磨いても、それを伝える場・共に学ぶ場を持たなければ、社会に発見されることはない。

「努力しているのに報われない」と感じているリハビリ職種は、今すぐ“機会の母集団”にアクセスする行動を増やすべきだ。

努力はキャリアの燃料である。

しかし、その燃料をどこに注ぐかを決めるのは自分自身の選択と行動だ。

努力だけで報われる時代は終わった。

これからのリハビリ職種に必要なのは、「努力 × 偶然 × 行動設計」というキャリア方程式である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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