リハビリテーション専門職にとって、診療報酬や介護報酬の仕組みを理解することは、単なる制度の知識にとどまらず、自身の専門技術を最大限に活かすための土台となる。
制度を知らずして臨床に臨むことは、評価されるべき専門性を制度上の枠外に置いてしまうリスクを孕む。
専門性が制度に適切に反映されてこそ、技術は社会的価値として認知され、組織や地域の中で活かされていく。
リハビリ職種が診療報酬・介護報酬に対する感度を高めることは、自らの技術がどのような評価基準で捉えられているかを知ることに他ならない。
たとえば、リハビリテーション実施計画書の作成や、目標設定の内容一つを取っても、その妥当性や制度的な整合性は、報酬に直結する。
制度を知ればこそ、現場で行うケアや介入に説得力が増し、それがアウトカムの可視化につながる。

一方で、経営者や管理者はリハビリ職種の専門技術を理解し、それを報酬制度に結びつける視点が求められる。
単に人件費としてのリハビリスタッフを管理するのではなく、その専門性を活かして加算や報酬を獲得する戦略を描けるか否かが、経営の巧拙を分ける。
リハビリ職種の強みや得意領域を把握し、それを制度上の評価対象に落とし込むことで、組織の収益構造は大きく変化する。
現場と経営の両輪が制度を基軸に連携することで、リハビリテーションの価値は最大化される。
制度の理解は職種にとっての制限ではなく、むしろ可能性を広げる枠組みであると捉えるべきである。
報酬を起点に技術を捉え直す視点を持つことが、リハビリ職種にとってはキャリアの成長にもつながる。
そして経営者や管理者にとっては、専門職の力を組織戦略に組み込む第一歩となる。
制度と技術の交差点に立つ私たちは、それぞれの立場で知識と実践を融合させなければならない。
制度の外に技術を置かず、制度の中に技術を位置づける。この視点が、これからのリハビリテーション専門職と医療・介護経営を支える重要な原則となるであろう。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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