医療・介護現場において、リハビリ職種の処遇は決して十分とはいえない。
昇給や評価が曖昧な組織も多く、専門職としての努力や成果が正当に報われないケースも少なくない。
しかし、処遇改善を他者任せにするのではなく、自ら主体的に動くことで道を切り拓くことは可能である。
第一に重視すべきは、組織内での価値提供を高めることである。
単に機能回復を目指すのではなく、組織が抱える課題に対して、リハビリ職種がどう貢献できるかを明確にし、提案・実行していく必要がある。
例えば、ADL低下による在宅復帰困難の課題に対しては、個別の介入戦略を部門横断的に示す。
あるいは、介護職の負担軽減や離職防止といった経営課題に対して、「リハビリによる移乗技術向上教育」を企画するなど、課題解決型の姿勢が評価につながる。
第二に、成果の可視化と報告の工夫が必要である。
リハビリの成果は利用者本人の変化として現れるが、それを第三者に伝えるには定量的・定性的データの提示が不可欠である。
FIMスコアの変化、介助量の推移、再入院率の改善など、組織にもたらすインパクトを丁寧に示し、経営判断に資する情報を積極的に提供していくことが求められる。
第三に、経営視点を持った対話力の強化が重要である。
リハビリ部門の稼働率、加算取得率、人件費とのバランスなど、経営資源としてのリハ職の立ち位置を理解することで、処遇に関する提案や改善要望も論理的に進めやすくなる。
最後に、外部への発信とチーム連携が処遇改善を後押しする。
自身の取り組みや成功事例を学会やSNSで発信することは、専門性の可視化につながる。
また、チームとして組織課題に取り組むことで、個人では到達できない変化を引き出すことも可能である。
処遇改善は単なる願望ではない。
組織に価値をもたらす行動を通じて、リハビリ職種は自らの評価を変える力を持っている。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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