近年、腎臓リハビリテーション(以下、腎臓リハビリ)が注目されている。
それに関連する書籍(『腎臓リハビリテーション』)は世界で初めて我が国で発刊され、さまざまな国で翻訳されている。
腎臓リハビリの定義は、
「腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラムによるリハビリテーションである」
とされている。
その腎臓リハビリの対象となるのは、慢性腎臓病(以下、CKD)透析患者または透析まで至らない保存期CKD患者である。
両者それぞれに対して、腎臓リハビリの効果が認められている。
CKD透析患者に運動療法を実施した場合には、最大酸素摂取量の増加、安静時・運動時の心機能改善、蛋白・エネルギー消耗(PEW)の改善、貧血の改善、日常生活活動(ADL)・生活の質(QOL)の改善、透析率や死亡率の改善などの効果がある。
保存期CKD患者に運動療法を実施した場合には、推算糸球体濾過量(eGFR)が改善することが分かっている。
すなわち、腎臓リハビリにおける運動療法は腎保護作用があり、これにより運動耐容能向上、ADLおよびQOLの改善が期待できる。
高齢者では、個人差はあるものの加齢における腎機能低下が生じる。
加えて、腎代謝の内服薬が多くなると、さらに腎機能を悪化させるため、より腎機能が低下する。
したがって、高齢者を対象としたリハビリを実施する上で、腎機能を無視してリハビリを実施することは考えられないといえる。
さらに、腎機能低下は心機能低下をも招くこととなる。
このように腎臓と心臓が互いに影響を及ぼし、各々の臓器障害が進行していくことを心腎連関という(メカニズムの詳細は別の機会に投稿する)。
したがって、CKDのステージが進行すると心血管疾患(以下、CVD)発症のリスクが高くなる。
このような状態に陥った際の患者の特徴としては、CKDが原因で死亡するよりもCVDを発症して死亡する例が多くなることが分かっている。
2018年には、腎臓リハビリ指導士制度が施行された。そのため、今後はますます腎臓リハビリが注目されると考えられる。
少しでも腎機能に着目した介入をしていただけると幸いである。
投稿者
井上拓也

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

コメント