医療機関や介護事業所に勤務するリハビリ職種が、所属法人の理念やリハビリテーション部門の行動方針をどの程度理解し、共有しているかは重要な論点である。
実際に理念や方針を明確に提示していない法人・部門も存在し、従業員の多くが日常業務において理念を意識する場面は少ないと考えられる。
多くのリハビリ職種にとって、関心の対象は専門技術の習得や労働条件、私生活の充実であり、理念や行動方針に対する優先度は相対的に低い。
面接時には理念への共感を口にしていても、入職後に理念や方針に関して主体的に確認や質問を行うケースは少ない。
この背景には、理念や行動方針をリハビリ職種に十分に教育・浸透させていない法人や部門の仕組みの不備がある。
資格を持つ人材を確保できればよいとする採用姿勢や、ワークライフバランスの意義を理解せず形式的に標榜する組織では、理念と実践の乖離が生じやすい。
医療・介護分野は2025年以降の高齢者増大に備え、国全体で制度改革とサービスの質向上を推進している。
その中で、理念や基本方針を軽視し続ける法人は、持続的に質の高い人材を育成できず、結果として社会にとっての不利益を生むことになる。
したがって、理念や行動方針を単なる掲示にとどめるのではなく、教育・研修や評価制度に組み込み、従業員が日々の実践と結び付けて理解できる仕組みを整備することが求められる。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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