今の職場が苦しいのに動けない人へ:リハビリ職の決断を阻むもの

人生を変えたい。
この職場を辞めたい。
こんな上司の下では働けない。
もっと自分のやりたいリハビリをしたい。

リハビリ職であっても、こう思うのはごく普通のことである。

急性期・回復期・在宅・通所、どの現場でも、働き方や人間関係、評価制度、将来性に違和感を抱く瞬間は一度や二度ではない。

しかし、実際に状況を変えるために行動する人は少数派である。

つまり、多くの人は「このままではまずい」と判断はできているのだが、「行動を起こす」という決断ができないのである。

では、なぜ「行動を起こす」という決断ができないのか。

それは、行動によって生じる責任を引き受けるという「覚悟」がないからである。

転職をするなら、合わなかった時のリスクも背負う必要がある。

在宅へ挑戦するなら、疾患理解やリスク管理、家屋評価、家族支援など新たな学習が求められる。

管理職を目指すなら、臨床だけではなく、人材育成や仕組みづくり、衝突の調整も引き受けなければならない。

起業するなら、収益の不安定さも、営業も、批判も、自分の責任として受け止める必要がある。

逆に言えば、「覚悟」さえできてしまえば、決断は可能となり、キャリアを変える確率は高まるのである。

元プロ野球監督の野村克也氏は「覚悟に勝る決断なし」という言葉を残している。

キャリアも同じである。

決断とは、気分の高揚ではなく、引き受ける責任の範囲を自分で定める行為である。

決断によって失うものもあるかもしれない。

今の職場の肩書、無難な評価、慣れた人間関係、安定したルーティン。

あるいは、周囲からの見られ方も変わる可能性がある。

しかし、それらを受け入れる覚悟ができたとき、人間の心は軽くなり、行動への決断が可能となるのである。

迷いの正体は「失うこと」そのものではなく、「失うかもしれない」という不確実性に耐えられないことである。

覚悟とは、その不確実性を抱えたまま一歩進む力である。

「覚悟」があるのとないのとでは、人生において行動できる範囲は天と地ほどの差がある。

そのため、リハビリ分野のキャリアデザインや、独立・起業を成功させるためには「覚悟」が極めて重要である。

今、あなたが行動を起こせない理由は、知識不足や経験不足ではない可能性が高い。

単に「覚悟」が未設定なだけかもしれないのである。

だが、よく考えてほしい。

もし、何かを決断することで何かを失うのだとしたら、それは本当に「必要なもの」なのか。

失うものは、実は「見栄」や、つまらない「プライド」、あるいは他人の評価への過剰な依存ではないだろうか。

もし、そんなもののために決断を先送りしているなら、相当人生で損をしていると言える。

リハビリ職のキャリアは、誰かが正解を用意してくれるものではない。

自分で責任を引き受ける覚悟を固めた瞬間に、初めて「決断」が現実の行動に変わるのである。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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