2025年現在の中医協議論から読み解く在宅復帰支援とPFMの位置づけ

2025年現在、すべての入院医療機関および介護老人保健施設には、在宅復帰に関する明確な役割が求められている。

これは単なる施設ごとの努力目標ではなく、中医協(中央社会保険医療協議会)で繰り返し議論されてきた医療提供体制全体の方向性を反映したものである。

中医協では近年、
・病床機能の明確化
・入院医療の効率化
・在宅医療・在宅ケアへの円滑な移行
が重要な論点として取り上げられている。

特に2025年を前後する時期においては、急性期・回復期・慢性期という従来の区分だけでは対応しきれない患者像の増加が問題視されている。

病棟編成を巡る現在の議論

現在の中医協における議論では、
「どの病棟でどの患者を、どの期間、どのように支えるのか」
という点がこれまで以上に厳密に問われている。

急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟、療養病棟といった病棟区分は維持されつつも、それぞれの病棟が在宅復帰にどう貢献しているのかが評価の軸となっている。

特に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括医療病棟については、
単に受け皿として患者を受け入れるだけでなく、
在宅復帰を前提とした入院マネジメントができているかが問われている。

つまり、
「どこに入院させるか」ではなく、
「その入院が在宅復帰につながっているか」
という視点への転換である。

後方連携だけでは
限界があるという認識

これまで在宅復帰を支える仕組みとしては、
・在宅復帰に対するインセンティブ報酬
・退院支援加算
・退院前訪問指導
・退院時共同指導料
など、後方連携を中心とした制度設計が行われてきた。

これらの施策は、退院後の療養やリハビリテーションを円滑に進めるうえで一定の成果を上げてきたことは事実である。

しかし中医協では近年、
「後方連携をどれだけ強化しても、在宅復帰が困難な症例が存在する」
という点が繰り返し指摘されている。

その背景には、
・入院前から生活機能が低下している
・家族支援が乏しい
・認知機能やセルフマネジメント能力に課題がある
といった、入院後の調整だけでは対応できない問題がある。

入院前からの支援の視点とPFM

こうした課題を受け、現在の中医協では
後方連携に加えて「前方連携」をどう構築するか
という議論が進められている。

この文脈で改めて注目されているのが、PFM(Patient Flow Management)である。

PFMとは、入退院を個別の業務として扱うのではなく、
病院全体で患者の流れをマネジメントする考え方であり、

・平均在院日数の短縮
・病床稼働率の向上
・新規入院患者数の増加
・救急搬送の受け入れ拡大
・在宅復帰率の向上

といった成果につながる手法として位置づけられている。

最大の特徴は、
入院前から退院後を一連のプロセスとして捉える点にある。

PFMにおける
リハビリテーションの役割

PFMは、単なるベッドコントロールや退院調整の強化ではない。

従来のように「退院が難しくなってからMSWが動く」体制ではなく、
病院全体のチーム医療として患者をどうマネジメントするかが問われている。

この中で、リハビリテーション専門職の役割は大きく変化している。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、
入院後の機能回復を担う存在にとどまらず、
入院前の生活機能や活動・参加を踏まえた評価と予測を行う専門職として期待されている。

入院前から関与することで、
・在宅での生活が成立するか
・どの程度の支援が必要か
・どのタイミングで退院可能か
を早期に可視化することが可能となる。

これは、在宅復帰支援を「調整業務」から「マネジメント」へと引き上げる重要な視点である。

2025年以降の在宅復帰支援は
「新次元」へ

2025年以降、在宅復帰支援は
退院直前に行う作業ではなく、
入院前から始まる包括的な医療・リハビリテーションマネジメントへと移行している。

中医協における議論、病棟編成の見直し、そしてPFMの導入は、
すべて「限られた医療資源をどう活かすか」という一点に収束している。

今後、在宅復帰を実効性のあるものとするためには、
PFMの考え方を理解し、
リハビリテーション専門職を含めた多職種が、
入院前から主体的に関与できる体制づくりが不可欠である。

マネジメントの理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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