専門性は黙っていても評価されない──2040年を見据えたリハビリ職種の生存戦略

伝えないことは、伝わらない。

これはあまりにも当たり前で、しかし多くの人が実践できていない原理原則である。

2025年以降、医療・介護・リハビリテーションの世界は、「何ができるか」よりも「誰が、何を、どう提供できるのかが見えるか」が厳しく問われる時代に入る。

どれだけ優れた知識や技術を持っていても、それを言語化し、可視化し、社会や組織に向けて発信しなければ、その人が認知される可能性は低い。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の中には、驚くほど勉強熱心で、知識も技術も高水準に備え、誠実なリハビリテーションを提供している人が数多くいる。

しかし皮肉なことに、そのような人ほど自ら情報発信をしない傾向が強い。

だが、はっきり言うべきだ。

知識や技術は、組織や社会に活用されてこそ意味がある。

発信されない能力は、社会に存在しない能力と同義である。

多くの人は、「遠慮」と「謙虚」を混同している。

  • 遠慮とは、自己主張を放棄すること

  • 謙虚とは、冷静に、根拠を持って自己主張すること

遠慮を美徳と誤解し、自らの価値を語らない人に、社会貢献の機会も、裁量のある仕事も、所得向上のチャンスも訪れない。

これはライフマネジメントの視点から見ても明白である。

時間、労力、自己投資、受講費、資格取得費――莫大な資源を投じて身につけた知識や技術を、価値として回収しない人生は、不良債権を積み上げ続けている状態に等しい。

忘れてはならない。

知識・技術・認定資格・学位・経験は、すべて「手段」であって「目的」ではない。

2025年から2040年に向けて、リハビリ職種に求められるのは「黙って腕を磨く専門家」ではない。

自らの専門性を言語化し、発信し、組織や社会を動かしていく専門職である(図1)。

図1 情報発信をしない人/する人

情報発信とは、自己顕示ではない。

それは、自らの能力を社会に還元し、必要とする人に届けるための責任である。

発信しない努力は、報われない努力になる。

発信しない専門性は、評価されない専門性になる。

この現実から目を背けたままでは、「頑張ってきたのに報われない」という言葉に振り回される人生から抜け出すことはできない。

語れ。示せ。発信せよ。

それが、これからのリハビリ職種が生き残り、価値を発揮し続けるための最低条件である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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