在宅シフト時代に求められるリハビリ職種の新たな使命

地域包括ケアシステムの中心をなす考え方は、「在宅シフト」である。

現在、急性期病床、回復期病床、療養病床のすべてから、患者の在宅シフトが進んでいる。

入院医療から在宅医療への移行は、軽症患者に限らず、人工呼吸器や胃瘻、中心静脈栄養などを必要とする重症患者にも広がっている。

もはや「在宅=軽症者」という時代ではなく、「在宅=生活の場で医療とリハビリを受ける時代」へと確実に変化している。

2025年現在、政府は「地域包括ケアシステムの深化・推進」を掲げ、医療と介護の連携強化を最重要課題としている。

特に、在宅医療と訪問看護・訪問リハビリ・通所リハビリ・定期巡回・看取り支援などの機能を統合的に運用できる体制づくりが求められている。

在宅医療・在宅リハビリを支えるために、ICTや医療DXの活用、医療介護連携加算の見直し、重症患者への訪問対応の拡充なども進められている。

また、在宅や施設での看取りはもはや特別なことではなくなりつつある。

病院での最期を迎える割合は減少傾向にあり、在宅での終末期支援のニーズは年々高まっている。

今後、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2050年前後までは、在宅医療・在宅介護の需要がピークを迎え、医療の在宅シフトはさらに加速していくと考えられる。

このような社会構造の変化において、リハビリ職種の役割も大きく変化している。

「ADLやIADLを改善するリハビリテーション」だけでなく、「全身状態を安定させ、終末期QOLを高めるリハビリテーション」が求められている。

呼吸・循環・疼痛・シーティング・褥瘡・認知症・誤嚥性肺炎など、従来の運動療法だけでは対応できない領域において、リハビリ職種の臨床的介入力が問われている。

しかし、学校教育や臨床教育、卒後教育の多くは依然として回復期中心であり、「重症患者向け在宅リハビリテーション技術」は十分に体系化されていないのが現状である。

リハビリ職種が持つ知識と経験を、在宅・終末期・重症対応へと転換できれば、リハビリ専門職の必要性はむしろ高まり、今後の人材過剰時代においても確かな活路となるだろう。

褥瘡、シーティング、疼痛管理、呼吸循環、認知症、トランスファー、誤嚥性肺炎予防など、まだまだリハビリ職種が開拓すべき領域は多い。

未開拓な分野は、ピンチでありチャンスでもある。

「在宅シフト」という時代の潮流を的確に捉え、次世代のリハビリテーションを担う専門職として、自らの技術を再構築していくことが求められている。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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