鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の方々の普段の臨床において、可動域制限に対してアプローチすることは多いのではないだろうか?
可動域制限の因子には色々あるが、今回は基礎的な関節の拘縮について科学的に説明していく。
関節を一定期間固定した場合、不動の状態が続くと関節が固まり拘縮が発生する。
では、この現象を科学的に説明するとどのようなメカニズムで関節が拘縮するのだろうか?
ただ単純に筋肉などの関節周囲の軟部組織が硬くなって発生するだけなのだろうか?
メカニズムとその原因を知れば、どこにアプローチすれば拘縮が生じたり、進行しなくなるかが分かる。
今回のブログで参考にした研究は動物(ラット)を対象にした基礎研究であるが、非常に学べることは多いと考えている。
・拘縮の発生メカニズム
拘縮が発生する原因は病気や加齢による変性も関連している。
これらの原因に共通していることは不活動になり、関節が不動になることである。
ということは、拘縮の発生を予防するためにはとにかく動かせば良いということである。
しかし、骨折後にギブスで固定している時や炎症がひどい場合はそうもいかないという問題もある。
次に拘縮が進行する要因について説明する。
拘縮進行の組織的要因は骨格筋と関節包の器質的変化が寄与している割合が高いとされている。
実験用ラットの場合であるが、膝を屈曲した状態が保たれた場合。
1.最初の2週間は筋肉による伸張性低下がメイン。
2.その後は関節包の器質的変化により制限される。
3.さらに、約1割は皮膚の器質的変化から由来している。
4.靭帯は逆に不動の状態が続くと力学的に脆弱になることから拘縮へ寄与している割合は少ない。
と報告されており、不動が40日以上続いた場合は軟骨の変性が進行してしまうため、元の可動性を取り戻すことは難しいとされている。
皮膚・筋肉・関節包のどの組織が拘縮を進行させるにしろ共通していることは、組織内のコラーゲンの増生による繊維化によって拘縮が進行していくということである。
繊維化とは簡単に説明するとコラーゲンの増生により組織がどんどん硬くなっていく現象のことである。
そのため、理論的に拘縮の進行を止めるにはコラーゲンの増生に伴う繊維化を抑えるアプローチをしていかないといけないことが分かる。
では実際どうアプローチを行っていくか?
臨床においてはストレッチ・遠心性の筋力トレーニング・温熱療法などで可動域を向上させる。
しかしこれらは筋収縮に対して即時的効果はあるが、コラーゲンの増生を抑える効果はないため頻繁に介入を行わなければならない。
具体的なアプローチについては今後記事にしたいと思う。
今回は関節拘縮のメカニズムについて述べた。
今回の記事が臨床の一助になって頂ければ幸いである。
・参考文献
沖田 実.関節可動域制限の発生メカニズムとその治療戦略.理学療法学.第41巻第8号 523~530項(2014年)
投稿者
堀田一希

・理学療法士
理学療法士免許取得後、通所介護にて利用者支援を行っています。
臨床では多くの患者さんの主訴が”痛み”であり、痛みを改善するために理学療法士としての基礎である解剖学・生理学・運動学を中心に評価・治療を行なっています。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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