組織や特定の分野で長期間働いていると、誰しも最も輝いている時期が訪れる。
実力がピークに達した時期は、組織からの評価も高く、仕事環境も心地よい。
この時期は自己の能力が最大限に発揮され、社内外からの引き合いも多くなる。
しかし、市場の変化や人間が持つバイオリズムにより、実力のピークは永続しない。
本人の能力が低下していなくとも、技術革新、法改正、社会ニーズの変化など外部要因が評価基準を変えてしまうため、ピーク期間はごく限られた時間に過ぎない。
この現実を直視できず、居心地の良さに甘んじる人は少なくない。
その結果、変化に適応できず、いつの間にか市場価値を失い、組織や社会から必要とされなくなってしまう。
一方、セルフマーケティングを怠らない人は、自分の実力のピークを客観的に把握し、商品価値の低下を早期に察知する。
そして、新たな知識やスキルの習得、業務領域の拡張、人脈の再構築などを通じて、新しい商品価値の創造に着手する。
起業家として成功している人の多くは、会社内で最も評価が高く、実力が充実している時期に退職し、独立している。
周囲からは「もったいない」「そのままいれば安定しているのに」と見られることも多いが、本人は次の成長曲線を描くための戦略的な決断をしているに過ぎない。
現代は、かつてのように企業や社会が一生涯を保証してくれる時代ではない。
生成AIの普及やDXの加速、少子高齢化による人材需給の変化など、働く環境は常に揺れ動いている。
この中で生き残るためには、社会から継続的に選ばれる存在であり続ける必要がある。
そのためには、自分の能力を「商品」として捉え、市場における価値を定期的に自己監査する習慣を持たなければならない。
実力のピークを逃さず、次の価値創造へ移行できる者こそが、変化の時代においても成長を続けることができる。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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