関節可動域制限の制限因子とは何か?

以前、関節可動域(Range of motion:以下、ROM)制限のブログを投稿させていただいた。

そのブログの中で、ROM制限には様々な制限因子があることを述べさせていただいた。

今回は、そのROM制限因子を評価する上で必要な知識をご紹介させていただき、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の先生方の臨床に活かしていただければと思う。

他動運動にて関節を運動させた際に、もうそれ以上運動できないという可動範囲のことをROMの最終域という。そして通常は、その最終域にて何かしらの抵抗を感じるはずである。

この抵抗感を『エンドフィール』という。

つまり、エンドフィールとは、関節を他動的に動かしたときに最終域で感じられる抵抗感のことを指す。

エンドフィールには、正常関節で感じられる『正常なエンドフィール』と、病的な状態に陥っている異常関節で感じられる『異常なエンドフィール』がある。以下にエンドフィールの詳細を記載する。

◆正常なエンドフィール

・bone to bone(骨と骨の衝突感)

・soft tissue approximation(軟部組織衝突感)

・tissue stretch(軟部組織伸張感)

◆異常なエンドフィール

・empty feel(空虚感):他動運動にて痛みや恐怖感などにより、構造的な抵抗感を感じない、何も感じない最終域感をいう。

・tissue stretch(軟部組織伸張感):弾性もしくは柔軟性のあるバネ様の抵抗感で、組織の太さによって異なる。

・capsular(hard/soft)(関節包性):ある程度の弾性があり、tissue stretchに似た抵抗感ではあるが、ROM制限のある関節を運動させたときに比較的早期から感じられる。慢性状態の関節包の短縮や癒着によるhard capsularと、急性期にROMの初期から抵抗感が始まり最終域に達するまで徐々に抵抗感が増加するsoft capsularに分類することもできる。

・muscle spasm(筋スパズム):他動運動にて突然、運動が遮られるような急な硬い抵抗感であり、痛みを伴うことが多々。

・soft tissue approximation(軟部組織衝突感):軟部組織同士が接触(圧迫)して、運動が止まる感じ。

・bone to bone(骨と骨の衝突感):骨と骨が当たって止まり、硬く弾力のない感じ。

・springy block(バネ様の抵抗感):tissue stretch似た抵抗感ではあるが、跳ね返るような感じ(ゴム板が挟まっているような感じ)。

エンドフィールは、あくまでも治療者が感じる抵抗感ではある(主観の域を脱しない)。

しかしながら、まず始めに関節を運動させた際に、治療者自身にしか感じられない非常に有益な情報であると考えると、ROM制限因子を特定する上で重要な“感じ”である。

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

 

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