コア・コンピタンス(Core competence)とは、ある分野において競合他者を圧倒的に上回り、かつ容易に模倣されない中核的な能力を指す概念である。
この考え方は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ職種のキャリアデザインにおいても、極めて重要である。
これら三職種は業務独占資格ではなく、毎年およそ2万人前後が新たに輩出されている。
その結果、リハビリ職種を取り巻く競争環境は年々激化している。
このような状況下において問われるのは、いかなるコア・コンピタンスを構築するのかという視点である。
競合他者を明確に上回る能力、かつ模倣されにくい核となる能力を有することで、リハビリ職種としての市場価値は大きく高まる。
すなわち、コア・コンピタンス構築の本質は「他者が真似できないこと」にある。
ここで注目すべき点は、コア・コンピタンスが必ずしも「高い技術力」や「特殊な能力」そのものを意味しないということである。
重要なのは、模倣されにくいか否かである。
多くのリハビリ職種は、自己研鑽として高度な技術力や専門的テクニックの習得を目指している。
しかし、それらが比較的短期間の努力によって模倣可能なものであれば、コア・コンピタンスとしては成立しない。
たとえば、脳卒中に関する学会発表や論文執筆を通じて高い知見を獲得したとしても、その分野が他者にとって参入しやすいものであれば、優位性は容易に失われる。
模倣が困難であればあるほど、市場における優位性は高まる。
具体例として、難病患者に対する嚥下リハビリテーション、脳卒中片麻痺患者に対するロボット歩行支援、大規模組織におけるマネジメント経験などは、多くのリハビリ職種が容易に経験できるものではなく、コア・コンピタンスとなる可能性が高い。
重要なのは、特別に難解なことを追求することではない。
他者が簡単には模倣できない領域を選択し、継続的に積み重ねることである。
これからの時代を生きるリハビリ職種には、「模倣されにくさ」という視点を軸としたキャリアデザインが強く求められている。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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