2026年以降の通所介護に求められる本質とは何か

通所介護を取り巻く環境は、今後さらに厳しさを増していく。

報酬制度はアウトカム重視が一層進み、稼働率が低い事業所や、明確な価値を示せない事業所は、確実に淘汰されていく時代に入る。

全国に数多く存在する通所介護は、
リハビリ特化、入浴重視、長時間対応、宿泊、豪華な設備、娯楽性の高いサービスなど、実に多様である。

しかし、その多様性がそのまま「選ばれる理由」になっているとは限らない。

問題の本質は、通所介護が利用者の本質的なサービス価値を捉えきれていない事業所が少なくないという点にある。

利用者は「通所介護」
を求めていない

重要な視点がある。

利用者は「通所介護というサービス」を求めているのではない。

通所介護に通った結果として得られる変化や効果を求めている。

この「得られる効果」こそが、利用者のベネフィットである。

  • 身体機能が維持・改善する

  • 外出することで生活リズムが整う

  • 人との関わりで意欲が高まる

  • 介護量が減り、家族の負担が軽くなる

こうした変化が実感できなければ、通所する動機は弱くなる。

欠席が増え、やがて他事業所への乗り換えにつながる。

稼働率が生命線である通所介護にとって、これは致命的である。

「お世話型通所介護」の限界

現場ではいまだに、
「通所介護とはお世話をする場所である」
という認識が根強く残っている事業所が散見される。

しかし、お世話そのものは利用者のベネフィットにはならない

お世話はあくまで手段であり、目的ではない。

目的は、利用者の生活や心身にどのような良い変化をもたらすかである。

ベネフィットが曖昧なまま、
・何となく預かる
・何となく時間を過ごす
・何となく安全に帰す

こうした通所介護は、利用者からも、ケアマネジャーからも、地域からも選ばれなくなる。

すべてに応える必要はない

誤解してはならないのは、
利用者のあらゆるニーズに応える必要はないという点である。

重要なのは、

  • 自事業所は

  • 誰に対して

  • どのようなベネフィットを提供するのか

これを明確に定義することだ(図1)。


図1 自社の価値を定義づけする

その定義に基づき、
人材育成、プログラム設計、評価、ケアマネへの説明を一貫させる。
これができて初めて、通所介護は「選ばれるサービス」になる。

2026年以降の通所介護は
「ベネフィット提示型」へ

これからの通所介護は、
単なる「場所提供」や「お世話提供」では生き残れない。

  • この通所介護に通うと、何が良くなるのか

  • どんな変化が期待できるのか

  • それをどうやって実現しているのか

これを言語化し、説明できる事業所だけが選ばれる。

通所介護の価値は、
「何をしているか」ではなく、
「通った結果、何が変わるのか」にある。

今こそ、通所介護は
利用者のベネフィットという原点に立ち返る必要がある。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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