令和8年度診療報酬改定 リハビリの疑義解釈資料その1が公表 休日リハ、廃用症候群、総合計画評価料、回復期病棟の実務ポイントを整理する

 

令和8年3月23日付で、厚生労働省から疑義解釈資料その1が公表された。

今回の資料は、令和8年度診療報酬改定に伴う運用上の考え方を示すものであり、リハビリテーション領域に関しても重要な内容が複数含まれている。

特に、回復期リハビリテーション病棟、休日リハビリテーション加算、廃用症候群リハビリテーション料、リハビリテーション総合計画評価料、地域包括ケア病棟、摂食嚥下関連など、現場実務に直結する論点が明確化された点は大きい。

今回の疑義解釈は、単なる細かな事務連絡ではない。

実際には、現場で迷いやすい起算日、対象患者、研修要件、兼務の可否、説明記録の扱いなど、算定実務の根幹に関わる事項が整理されている。

したがって、制度改定の概要だけを追うのでは不十分であり、疑義解釈まで含めて理解しておくことが重要である。

1.リハビリテーション・栄養・口腔連携加算で除外できる終末期患者の範囲

まず押さえておきたいのが、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算および関連加算における、ADL低下患者割合の計算対象から除外できる患者の範囲である。

今回の疑義解釈では、死亡退院や終末期のがん患者だけでなく、医学的に終末期と判断される末期呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全の患者で、緩和ケア診療加算の対象要件を満たす者も該当すると整理された。

さらに、末期呼吸器疾患については、過去半年以内に10%以上の体重減少という要件を満たさなくても差し支えないとされた。

終末期患者の扱いを曖昧にしたままADL低下割合を計算すると、病棟実績の評価に不必要な影響を受ける可能性がある。

緩和ケア対象に該当するかどうか、医師の判断や記録との整合性を丁寧に確認する必要がある。

2.回復期リハビリテーション病棟のFIM研修は看護職員も対象である

回復期リハビリテーション病棟入院料および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料に関しては、FIMの測定に係る研修の対象職員の扱いが再確認された。

今回の疑義解釈では、令和8年度改定で新たに要件が追加された回復期リハビリテーション病棟入院料2および4においても、FIMの測定を担当する看護職員は研修の対象になると明示された。

これは、FIMを療法士だけの業務として捉えないという意味でも重要である。

病棟全体でFIMを正確に測定し、実績管理に反映させる以上、看護職員が測定に関与しているのであれば研修対象に含める必要がある。

運用としては、誰がFIM測定に関与するのかを明確にし、その職員の受講状況を管理しておくべきである。

3.重症患者割合の基準変更は6月前入棟患者に旧基準を適用できる

令和8年度改定では、回復期リハビリテーション病棟における重症患者の範囲および重症患者割合の基準が見直された。

この点について疑義解釈では、令和8年5月31日までに入棟または入室した患者については、改定前の重症患者範囲および基準を用いてよいとされた。

一方で、算出対象期間が5月と6月をまたぐ場合、新規入院患者のうち重症患者割合の基準については改定後の基準を用いてよいと整理されている。

ここは経過措置の理解が極めて重要である。

改定月をまたぐ患者を一律に新基準で扱うのではなく、入棟時期によって旧基準を適用できるため、実績指数や基準適合性の検証にあたっては患者ごとの入棟日を起点に管理しなければならない。

4.高次脳機能障害患者への退院支援情報は、地域の全情報を求めるものではない

回復期リハビリテーション病棟の要件として追加された、高次脳機能障害患者に適したサービス情報の把握・提供体制についても疑義解釈が示された。

ここでは、地域の全ての事業所情報を把握して提供することまでは求めていない一方で、高次脳機能障害患者に適した事業所情報を把握し、退院時に患者・家族へ提供できる状態であることが求められるとされた。

また、令和8年12月31日までは、速やかな情報提供に向けて把握・整理を現に進めている場合も含まれると整理されている。

実務上は、地域の就労支援、生活介護、相談支援、障害福祉サービスなどのうち、高次脳機能障害患者に適した機関のリスト化を進め、退院支援部門と病棟が共有できる仕組みを整える必要がある。

5.回復期リハビリテーション強化体制加算は病院内の対象病棟全体で届出する

回復期リハビリテーション強化体制加算については、届出単位が明確化された。

疑義解釈では、保険医療機関内の回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出る病棟全体で届出を行うとされている。

つまり、病棟ごとにばらばらに届出する考え方ではなく、病院内の対象病棟全体を単位として考える必要がある。

ここは届出の実務を誤ると施設基準管理そのものに影響するため、事務部門と病棟側で認識をそろえておくべきである。

6.地域包括ケア入院医療管理料の専従療法士は、回復期病棟患者に介入しても疾患別リハは算定できない

今回の疑義解釈の中でも、かなり注意が必要なのがこの点である。

地域包括ケア入院医療管理料に専従の理学療法士等は、当該病室を有する病棟が算定する入院料に規定する専従者と兼務可能とされているが、その病棟が回復期リハビリテーション病棟であった場合、当該専従療法士が回復期リハ病棟患者に疾患別リハを提供しても、各疾患別リハビリテーション料は算定不可であると明示された。

これは現場で誤解しやすい。

兼務可能という表現だけを見ると、介入すれば算定できると捉えられがちである。

しかし実際には、専従配置の趣旨が優先されるため、提供したことと算定できることは別である。

人員配置の組み方や実績管理に直結するため、特に病棟横断で療法士を回している病院は要注意である。

7.疾患別リハの1週間は日曜から土曜である

疾患別リハビリテーションにおける、療法士の週当たり上限単位数108単位の週の考え方についても明確化された。

疑義解釈では、第1部初・再診料通則と同様に、日曜日から土曜日までを1週間の単位とすると示されている。

休日リハビリテーション加算が新設されたことと合わせると、週単位の単位管理はこれまで以上に重要になる。

現場感覚で月曜始まりやシフト起点で管理していると、上限管理にズレが生じる可能性がある。

管理表や集計ロジックを日曜起点で統一すべきである。

8.休日リハビリテーション加算は改定前入院患者でも6月以降に算定できる

新設された休日リハビリテーション加算については、経過措置上の起算日が整理された。

令和8年5月31日以前に入院し、6月1日以降も継続入院している患者に対して休日リハビリテーション加算を算定する場合、起算日に相当する日付が5月31日以前であっても、その日を起算日として扱い、6月1日以降は要件を満たす日に算定可能とされた。

改定後入院患者に限るわけではないため、6月以降の継続入院患者についても対象になり得る。

したがって、6月から休日リハを始める場合でも、患者ごとの起算日管理を正確に行っておく必要がある。

9.廃用症候群リハは入院前の安静期間でも対象になり得る

廃用症候群リハビリテーション料については、急性疾患等に伴う安静が、必ずしも入院後でなければならないわけではないことが明確になった。

入院前に発症した疾患により、入院までに生じた安静期間によって、入院時にすでにFIM等の要件を満たす廃用を認めた場合には、入院初日であっても算定可能とされた。

さらに、早期リハビリテーション加算の算定可能期間は、廃用症候群リハ料の算定開始日にかかわらず、入院日から14日間であることも示されている。

これまで、入院後に安静期間が一定程度必要だと誤解していた現場は少なくない。

しかし今回の疑義解釈により、入院時点で廃用の要件を満たしていれば初日算定も可能である。

一方で、早期リハ加算の起算はあくまで入院日から14日間であり、廃用症候群リハの開始日ではない点は厳格に押さえなければならない。

10.リハビリテーション総合計画評価料は、自院で初めてなら他院算定歴があっても初回でよい

リハビリテーション総合計画評価料1および2については、今回「2回目以降」が新設されたが、その考え方も整理された。

まず、他院で同一疾患についてリハビリテーション総合計画評価料を算定した後に転医し、自院で同一疾患の計画書を作成した場合でも、自院で初めて算定するなら「初回の場合」として算定できる。

これは、自院基準で初回かどうかを判断するということである。

他院歴だけを見て安易に2回目以降で処理すると誤りになる。

11.同一疾患でも再発・急性増悪で起算日再設定なら、再び初回算定できる

同じくリハビリテーション総合計画評価料について、同一の疾患別リハビリテーション料であっても、新たな疾患の発症や再発、急性増悪等によってリハビリテーション起算日が再設定され、改めて総合実施計画書を作成・評価した場合には、「初回の場合」を算定すると示された。

つまり、疾患別の区分名が同じであっても、病態が新たに立ち上がり起算日が再設定されるのであれば、初回として扱えるということである。

12.説明後に診療録へ説明内容まで書く必要はない

診療録に添付するリハビリテーション実施計画書または総合実施計画書の写しに、説明日および説明者の記載がない場合は診療録に記載することとされたが、計画書の説明後、その説明内容まで診療録へ記載する必要はないとされた。

ただし、患者からの意見など特に記載すべき事項がある場合は記載が必要である。

これは運用負担の観点で重要である。

説明内容の逐語的な記録まで求められているわけではない。

ただし、説明した事実と説明者、説明日、患者側からの特記事項は適切に残す必要がある。

署名不要化の流れともあわせて、説明の質と記録の最低限必要な要素を整理しておくべきである。

13.5月までに算定していた場合は、6月以降は2回目以降として扱う

リハビリテーション総合計画評価料の経過措置も押さえる必要がある。

令和8年5月31日以前に総合計画評価料1または2を算定していた場合、同年6月以降に再度同じ区分の算定要件を満たした場合は、2回目以降として算定するとされた。

ここは改定またぎの実務で誤りやすい。6月から新ルールだからといって一律に初回で算定するのではなく、5月までの算定歴を踏まえて判断する必要がある。

14.摂食嚥下機能回復体制加算の専任STは、支障がなければ疾患別リハとの兼務が可能

摂食機能療法の注3に規定する摂食嚥下機能回復体制加算1・2については、摂食嚥下支援チームの言語聴覚士が「専従」から「専任」に変更されたことに伴い、専任の常勤言語聴覚士は、チーム業務に支障がない範囲であれば、疾患別リハビリテーションの専従または専任のSTを兼ねることが可能とされた。

これはST配置の実務にとって大きい。

専従から専任へ変わった意味は重いが、兼務可能だからといって無制限ではない。

チーム活動に支障がないことが前提であり、実態として会議、評価、指導、連携が担保されているかが問われる。

15.嚥下調整食はVEやVFが必須ではない

入院時食事療養等に係る特別食加算のうち、嚥下調整食についても疑義解釈が出ている。

摂食機能または嚥下機能が低下した患者とは、VEやVFで機能低下が確認できる者に限られず、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士等の多職種で評価を行うなどして、適切な栄養量・内容を有する嚥下調整食が必要であると医師が判断し、食事箋を発行した患者が対象とされた。

この点は現場にとって実務的である。VEやVFができないから対象外という話ではなく、多職種評価と医師判断がきちんとあれば算定対象になり得る。

STだけの問題ではなく、栄養管理や病棟との連携がより重要になる。

16.嚥下調整食は計器測定不要だが、品質管理責任は必要である

嚥下調整食の硬さ、付着性、凝集性等について、計器等による測定は不要とされた一方で、嚥下調整食に係る責任者が品質管理を行うことが求められている。

つまり、形式的な機器測定義務はないが、提供食の質管理責任は明確に残る。

厨房、栄養部門、ST、看護師が連携し、どのレベルの食形態をどう管理するのかを施設内で定めておくことが重要である。

17.嚥下訓練食品だけ、または経管栄養併用で必要栄養量が満たない場合は特別食加算不可

さらに、嚥下訓練のためにゼリー等の嚥下訓練食品を提供した場合や、嚥下調整食と経管栄養を併用している場合であっても、患者に必要な栄養量が1食の献立として常食と同等に確保できていない嚥下調整食は算定できないとされた。

この点は算定の線引きとして明確である。

訓練目的のゼリー提供や不十分な食事内容を、安易に嚥下調整食の加算対象としてはいけない。あくまで食事として必要栄養量が確保されていることが前提である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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