「中医協 総-2(2026年1月23日付)」の短冊(資料)よりリハビリテーション関連の項目を解説する。
今回は、専従STの規制緩和である。
摂食嚥下領域の改定短冊を読むと、今回の主眼は点数の上下というより、体制(人の置き方)とアウトカム(栄養経路の回復)を結び付けて評価する方向にあると読み取れる。

とくに「摂食嚥下機能回復体制加算」と療養病棟の「経腸栄養管理加算」に手が入っている。
まず、摂食嚥下機能回復体制加算1・2では、摂食嚥下チームに求められていた言語聴覚士の専従要件が見直され、専任でも可となる。
ここは現場感として大きい。
専従に縛られてチームが組めない、もしくは組めても運用が硬直する状況が、専任化で解ける可能性があるからである。
一方で、専任化は緩和であると同時に、院内での役割設計の巧拙が成果を左右する合図でもある。
次に療養病棟で算定される摂食嚥下機能回復体制加算3では、実績の算入方法が拡張され、1・2と同様に「経腸栄養から経口摂取へ回復した患者」も実績に入れられる整理となる。
実際、実績の考え方として「中心静脈栄養を終了した者」に加え、「鼻腔栄養または胃瘻から経口摂取のみへ回復した者」が明示されている。
これは、療養病棟でも経口回復を丁寧に追うことが評価に直結しうる、というメッセージである。
さらに、療養病棟入院基本料の経腸栄養管理加算の対象患者要件が見直しとなる。
方向性は二つである。
①入院前から経腸栄養を行っておらず中心静脈栄養で管理されていた患者も算定対象にすること
②経口摂取が不可となった際に、適切なプロセスを経て中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選択した場合も算定可能であることを明確化すること
である。
そして、算定要件(案)として、中心静脈栄養から経腸への移行目的、あるいは入棟後に経腸栄養を開始するケースが整理されている。
つまり、栄養経路の選択を根拠立てて行い、より侵襲の小さい経路へ移行する臨床判断と運用を後押しする構造である。
では、この改定を踏まえた今後のSTと他職種の在り方はどうなるか。
鍵は、STが嚥下訓練の実施者に留まらず、評価・方針・運用・教育・記録を束ねる設計者になれるかである。
短冊は「多職種で構成された摂食嚥下支援チーム」を前提にし、歯科医師が参加する場合は歯科衛生士の必要に応じた参加にも触れている。
また、チームの中核要素として、摂食嚥下障害看護の研修を修了した専任看護師、または専任STという書きぶりがある。
これは、STだけで完結しないこと、そして看護・歯科・リハ・栄養を横串にする院内標準が問われることを意味する。
専任化で時間の自由度が上がるほど、成果は偶然では出ない。
スクリーニングから嚥下機能評価、栄養経路の合議、訓練と食形態調整、モニタリング、経口回復の定義、退院後支援までを一本のプロセスとして回せる病棟こそ強い。
加算を取るためにチームを置くのではなく、チームで回復を作り、その結果として評価が付く、という順序に変えるべきである。
STはそのプロセスの責任者になれるし、看護師は観察と実装の主役になれる。
医師は適応とリスクの最終判断を担い、歯科は口腔機能の土台を整える。
こうした役割分担が院内で言語化されて初めて、専任化は現場にとって有用なものとなる。
診療報酬・介護報酬に関して理解を深めたい方はこちらから →セミナー一覧
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。
