2026年度診療報酬改定【短冊読み】専従療法士の仕事は臨床だけではないを後押しする改定

「中医協 総-2(2026年1月23日付)」の短冊(資料)よりリハビリテーション関連の項目を解説する。

今回は、専従療法士の業務拡大の規制緩和である。

今回の短冊は、疾患別リハビリテーション料や特定入院料に配置された療法士について、病棟内に限らず専門性を活かした指導等を推進する観点から、専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が従事できる業務の範囲を広げ、かつ明確化する方針を示している。

狙いは、より柔軟なリハ提供体制の構築である。

現場感としては、専従者に病棟マネジメントやチーム運営を求めるように聞こえやすい。

しかし、本質は、専従者が臨床の専門性を病棟の成果に変換する活動を行いやすくする制度的な下支えである。

これまで専従者が退院支援や多職種連携に時間を割くほど、単位の計算や施設基準上の不利が生じやすかった。

その摩擦を減らし、病棟内外での指導を前に進める意図が読み取れる。

ここから、短冊で定められたルールをポイントで押さえる。

短冊で定められたルールの要点

  • 1日18単位が標準とされる実施単位数について、当該従事者が疾患別リハと集団コミュニケーション療法以外の業務に従事した場合、その従事時間20分につき1単位とみなし、実施単位数に加える算定要件を追加する方針である。

  • 上記の換算は、疾患別リハを担当する専従者が対象であり、他業務に従事した時間20分を1単位として、1日および週の実施単位数に加えて計算できる。20分未満でも含める扱いが明記されている。

  • 疾患別リハに規定する専従の療法士について、従事する業務を追加し、兼任の取扱い等を見直す方針である。

  • 地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料に規定する専従の療法士等について、従事できる業務内容を追加する。

  • 同3病棟の専従の療法士等は、退院に向けた指導等について屋外など配置病棟以外での業務に従事可能であることを明確化する。

  • 療法士配置を規定する病棟内に、回復期リハビリテーション入院医療管理料または地域包括ケア病棟入院医療管理料がある場合、専従療法士の兼任が可能であることを明確化する。

次に、病棟別に運用の細部を見る。

地域包括医療病棟入院料では、専従の理学療法士等が疾患別リハ等の提供等により、全入院患者に対するADL維持・向上を目的とした評価・指導を行い、対象外患者にも同様に評価・指導を行うとされる。

その一方で、専従の理学療法士等は1日につき6単位を超えた疾患別リハ等の算定はできないという上限が置かれ、評価・指導等は必要に応じて病棟外または屋外等で実施可能とされる。

地域包括ケア病棟入院料では、病棟に専従の常勤PT・OT・STを1名以上配置することが示される一方、当該理学療法士等は疾患別リハを担当する専従者との兼務はできず、当該理学療法士等が提供した疾患別リハ等は疾患別リハ料として算定できないと明記される。

さらに、退院に向けた指導等は病棟外または屋外等で実施可能である。

施設運用としては、週22時間以上の専従非常勤PTや専任非常勤OTを各2名以上組み合わせ、常勤の勤務時間帯と同じ時間帯に配置する場合、実労働時間を常勤換算して算入できる扱いも示されている。

回復期リハビリテーション病棟入院料でも、必要に応じて病棟外または屋外等での実施が可能である旨が示される。

また、短冊の枠組みとして、回復期リハ病棟を含む3病棟で専従療法士等の業務内容追加と病棟外従事の明確化が並列に示されている。

加えて、脳血管疾患等リハの施設基準では、専従従事者が疾患別リハを提供すべき患者がいない時間帯に、通所リハや自立訓練に従事しても差し支えないとされ、条件として専従者以外のPT・OT・STが介護保険リハ等に従事していること等が挙げられている。

以上を踏まえると、専従者のキャリアは臨床実施者に留まらない。

カンファ運営、退院工程の設計、多職種間の翻訳、標準化といった病棟オペレーションを、専門性で極める余地が制度上も広がる。

重要なのは、専従者を何でも屋にしないことである。

意思決定、工程、標準化、評価という病棟成果に直結する領域に集中させ、単なる雑務回収は組織で分担する。

これが新たなキャリアを導き出す。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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