2026年度診療報酬改定【短冊読み】急性期病院一般入院基本料の新設が示す「急性期の再定義」

「中医協 総-2(2026年1月23日付)」の短冊(資料)よりリハビリテーション関連の項目を解説する。

今回は、急性期病院一般入院基本料の新設である。

急性期病院一般入院基本料等の新設は、「急性期一般入院基本料(いわゆる急性期一般1〜6)」とは別に、地域で急性期医療の拠点として機能する病院をより明確に評価し直す意図を持つ改定である。

短冊では、患者像の複雑化・重症化が進む中で、患者ニーズ、病院機能・特性、地域医療構想を踏まえて医療提供体制を整備する方針が示されている。

なぜ新設されたか

第一に、機能分化を病棟の体制だけでなく病院の役割として可視化する狙いである。

急性期の受け皿は今後、量よりも「救急・手術・重症対応を安定供給できる体制」が問われる。

新たな地域医療構想(2040年を見据えた議論)でも、病床の機能分化・連携に加え、医療資源・人材制約を前提に地域で体制を組み直す方向が強調される。

第二に、特定機能病院や本入院基本料について物価高の影響を受けやすい医療機能として加算的に手当てする位置づけも読み取れる。

従来の急性期一般との違い

従来の急性期一般は、基本的に「病棟単位」の看護配置や重症度・医療・看護必要度等で段階化されてきた。

評価のものさしとして看護必要度を用い、機能分化を促す目的があった。

一方、新設の急性期病院一般入院基本料は病院の急性期実績・体制をより前面に出す

区分はA/Bで、点数は今後の答申で確定する。

リハビリと地域医療への影響

リハビリの観点では、急性期病院が「救急・手術・重症対応の拠点」として再定義されるほど、入院早期から退院後を見据えた介入(早期離床、合併症予防、退院支援)が病院経営の前提条件になりやすい。

A要件にある自宅等退院8割は、院内完結ではなく地域連携(回復期・在宅)を前提にした指標である。

地域側では、Bに地域・離島配慮があることから、「大都市型の高度急性期」一辺倒ではなく、圏域の救急を守る急性期拠点を残すメッセージとも読める。 こうした方向性は、新地域医療構想が掲げる機能分化・連携の再設計とも整合する。

総じて本新設は、急性期一般の病棟評価を土台にしつつ、病院の役割(救急・手術・重症・退院支援)をより強く評価軸に載せる改定である。

今回の急性期機能の新設は点数が確定する最終答申後に、A/Bの射程と波及(DPC、紹介・逆紹介、回復期・在宅連携)まで一気に検証すべきテーマと言える。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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