2026年度診療報酬改定【短冊読み】看護・多職種協働加算は「世話の評価」ではない:診療補助で病棟を強くする仕組み

「中医協 総-2(2026年1月23日付)」の短冊(資料)よりリハビリテーション関連の項目を解説する。

今回は、看護・多職種協働加算の新設である。

看護・多職種協働加算は、リハビリ職種の「病棟の世話」を促す評価ではない。

短冊では、看護職員を含む多職種が協働し、「専門的な指導及び診療の補助」を適時かつ適切に行う体制を整える病棟を評価する、と明確に書かれている。

ここで重要なのは、業務の中心がケア(食事・清潔・環境整備)の周辺作業ではなく、臨床判断と治療プロセスに資する診療補助であることである。

この加算の狙いは、単なる人員増ではなく、病棟パフォーマンスを上げる「仕組み」づくりにある。

対象は、急性期一般入院料4及び急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度等を満たす病棟で、看護配置基準を超えて看護職員に加え、PT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師のいずれかを配置し、多職種が専門性を発揮して協働する場合に算定できる、と整理されている。※急性期病院B一般入院料は今回の改定で新設。

急性期一般入院料4や急性期病院Bの中には、病棟区分としては入院料1ほど手厚い人員配置を前提としない一方、実態として入院料1相当の重症度・医療看護必要度の患者を抱える病棟が存在する。

そこで、看護職員の上乗せ配置に加え、PT・OT・ST等の専門職を配置し、多職種が「診療の補助」として協働する体制を評価し、限られた人員でも病棟の生産性とアウトカムを底上げする狙いで対象が設定された。

現場の働き方は、治療者として自分の手技・自分の患者を最適化する段階から、管理者として病棟の流れ・成果を最適化する段階へ移る必要がある。

加算を活かす病棟は、①毎日の多職種ラウンド、②リスク(転倒・誤嚥・せん妄・廃用)の早期検出、③栄養・活動・検査・服薬等のボトルネック解消、④退院に向けた標準化、を「手順」として設計し、運用し、監査し、改善する病棟である。

したがって、リハビリ職種に求められるのはリハビリの実施者ではなく、手順の運用と手順の管理である。

誰が、いつ、何を見て、どう介入し、どの指標で改善したかを管理できなければ、協働はなんとなくの掛け声や注意の呼びかけで終わる。

一方で、この加算は短冊段階では曖昧さも残る。

算定要件の詳細は今後の告示・通知で定義される。

「専門的な指導」「診療の補助」の範囲、協働の記録要件、対象患者の実務的な線引き、評価指標の置き方が不明確なまま走ると、現場は加算のための活動に引っ張られ、目的である病棟アウトカム改善から逸れる危険がある。

結論として、看護・多職種協働加算を成果に変える鍵は、診療補助としての協働を、病棟の標準手順として実装し、管理することである。

加算の点数や施設基準の確定を待つ間も、病棟が上がる仕組みの設計と試運転を進めるべきである。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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