2026年度介護報酬臨時改定から読み解く~リハビリテーション職種と2040年問題~

政府は2025年12月24日、来年度の臨時(期中)改定として介護報酬を2.03%引き上げる方針を正式決定した。

これは片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相との折衝で合意されたものであり、政府・厚生労働省が現在進めている介護・医療人材政策の一つの到達点といえる。

今回の議論の根底には、いわゆる2025年問題がある。

団塊の世代が後期高齢者となり、医療・介護需要が急増する一方で、現場を支える人材が決定的に不足する局面に入った。

さらに政府は、この状況が一過性のものではなく、2040年に向けて地域ごとに医療・介護資源の需給が大きく乖離する構造問題であると定義している。

つまり「人を増やす」だけではなく、「限られた人材でどう支えるか」が政策の中心課題となっている。

この文脈で今回の臨時改定を見ると、リハビリテーション職種への影響は小さくない。

第一に、処遇改善の対象が介護職員に限定されず、介護従事者全体へ拡大される方向で議論が進んでいる点である。

訪問リハビリテーションや訪問看護が処遇改善加算の対象に含まれることは、在宅領域で働く理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の処遇改善を制度的に後押しする意味を持つ。

第二に、生産性向上や協働化への取り組みが評価軸として明確化されている点である。

リハビリ職種に対しても、「単に訓練を行う専門職」ではなく、ICT活用、多職種連携、業務の再設計を通じて地域全体のアウトカムを高める役割が求められている。

政府と厚労省は現在、2026年度以降の通常改定、さらには第10期介護保険事業計画を見据え、賃上げ・人材確保・生産性向上を一体で進める方針を明確にしている。

今回の臨時改定は、その序章に過ぎない。

リハビリテーション職種もまた、2025年問題から2040年問題へと続く構造変化の中で、自らの役割と価値を再定義する局面に立たされているのである。

介護報酬改定に関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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