2026年度診療報酬改定に向けた摂食機能療法の論点 ―「食事観察・食事介助のみ」は評価されなくなる―

2026年度診療報酬改定を見据え、中医協では摂食機能療法の算定の在り方について重要な議論が進んでいる。

「食事の観察や食事介助のみで摂食機能療法を算定することは不可とすべき」という方向性で、診療側・支払側の意見が一致している。

摂食機能療法は本来、摂食機能障害を有する患者に対し、診療計画書に基づいて個々の症状に応じた評価・訓練・指導を行うことを評価する診療報酬項目である。

しかし、現場では、「食事を見守った」「介助した」という行為のみで算定されているケースが存在してきた。

中医協では、こうした運用は制度の趣旨から逸脱しているとの認識が明確に示された。

この議論が意味するのは、摂食機能療法が行為ではなく専門的介入として厳密に問われる時代に入るということである。

今後は、単なる食事場面への関与ではなく、嚥下機能の評価、問題点の分析、訓練内容の妥当性、指導の具体性といったプロセスが説明できなければ算定は難しくなる。

医療機関に求められる対応は明確である(図1)。

図1 左:見守りのみ 右:評価から指導

摂食機能療法を算定するのであれば、誰が、どの評価に基づき、どのような訓練・指導を行ったのかを診療録と計画書で可視化する必要がある。

これはST個人の問題ではなく、病棟・組織としての運用設計の問題である。

2026年度改定は、摂食機能療法を「とりあえず算定できる項目」から、「専門性が試される項目」へと位置づけ直す転換点になる可能性が高い。

今こそ医療機関は、摂食・嚥下リハビリテーションの質と説明責任を、戦略的に再構築すべきである。

診療報酬改定に関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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