小池 隆二
株式会社OneMoreShip 代表取締役
在宅リハビリテーション&ケアスクール 講師
理学療法士
株式会社OneMoreShip 代表取締役
医療法人OneMoreShip 理事
在宅医療・地域医療・地域リハビリテーションの現場に深く根ざし、実践を重ねる理学療法士。
医療法人と株式会社の両軸で、医療と介護の両事業を経営する数少ないプレイヤーとして、制度の狭間にある課題解決に挑む。


病院と在宅では、対象者の心身に働く自律神経の状態が大きく異なります。
自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで成り立っており、このバランスは環境によって大きく変化します。
人は置かれた環境やそこで求められる立ち振る舞いによって、緊張とリラックスを切り替えており、その影響はリハビリテーションの成果にも直結します。
病院内という空間は、日常生活とは異なる非日常環境であり、体調悪化や疾患の発見、検査、手術など、不安を伴う出来事が多く発生します。
そのため、多くの方は入院した段階からすでに交感神経が優位になりやすい状態にあります。
さらに、セラピストが関わる場面では、手術直後の強い痛み、新しい動作を覚える際の緊張、歩行練習における転倒への恐怖など、緊張を引き起こす要因が多く存在します。
病院内では環境因子と心身因子が重なり、交感神経優位の状態が持続しやすいという特徴があります。
一方、在宅環境はその対極にあります。
自宅は生活の主導権を本人が握っており、安心感のある空間で過ごす時間が多くなります。
多床室のように他者に気を遣う必要もなく、家族との生活が中心となるため、心理的負担が少ないのが特徴です。
その結果、副交感神経が優位になりやすく、身体的にも精神的にもリラックスした状態が続きやすいといえます。
このことは自主トレーニングの継続にも影響します。
たとえば、「自宅で毎日スクワットを50回できますか」と尋ねると、多くの方が難しいと答えます。
これは意志の問題だけではなく、自宅という環境が休息を促す性質を持っているためです(図1)。
図1 自宅では副交感神経が優位になる
副交感神経が優位な状態では、身体を積極的に動かすための覚醒レベルを維持することが難しくなります。
つまり、在宅にいる対象者が運動を継続しにくいのは、環境特性による自然な反応であると理解する必要があります。
リハビリテーションは、対象者の身体能力だけでなく、どの環境にいるかによっても効果が左右されます。
病院と在宅では、自律神経の働きが大きく違うため、同じプログラムを適用しても反応が異なることがあります。
在宅では副交感神経優位を前提にした負荷設定や声掛けが必要であり、病院内では交感神経優位を考慮した不安軽減や痛み対策が重要になります。
このように、自律神経の特性と環境の関係を理解することは、動作指導や自主トレーニングの設計において非常に重要です。
対象者の置かれた環境を適切に踏まえることで、より効果的なリハビリテーション支援につながります。
地域・在宅リハビリテーションに関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む
小池 隆二
株式会社OneMoreShip 代表取締役
在宅リハビリテーション&ケアスクール 講師
理学療法士
株式会社OneMoreShip 代表取締役
医療法人OneMoreShip 理事
在宅医療・地域医療・地域リハビリテーションの現場に深く根ざし、実践を重ねる理学療法士。
医療法人と株式会社の両軸で、医療と介護の両事業を経営する数少ないプレイヤーとして、制度の狭間にある課題解決に挑む。