理学療法・作業療法・言語聴覚療法の価値は、職場づくりの視点でも非常に高い。
筆者が関わる医療機関や介護事業所では、多くの現場で「質の低いケア」が課題として挙がっている。
内容を詳しく見ると、次のような問題が現場に散見される。
口腔ケアが不十分
食事介助の質がばらつく
移動・移乗介助の技術不足で腰痛を訴える職員が多い
褥瘡のある利用者の姿勢調整に難渋している
拘縮予防がうまくいっていない
トイレ・入浴での転倒が多い
認知症の行動・心理症状に対応しきれない
痰の多い利用者への対応が不十分
誤嚥性肺炎での退所が続く
車椅子座位が悪い利用者が多い
福祉用具・装具・自助具の使い方が理解されていない
レクリエーションがマンネリ化
在宅復帰に向けた環境調整が難しい
これらは特別な例ではなく、多くの現場で起こりうる問題である。
そして質の低いケアは、利用者に影響するだけではない。
スタッフの熱意を損ない、ケアのネグレクトや虐待に近い状況を生み、人間関係の悪化や退職へとつながることもある。
一方で、適切な技術と視点を持つスタッフが増えると、個々のケアが改善されるだけでなく、職場の空気や文化までも変わっていく。
これは、キャリア理論でいうところの「役割ベースのキャリア」や「専門性アンカー」が発揮されている状態に近い。
多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、目の前の患者や利用者の改善を使命として働いている。
しかし地域包括ケアが進む今、求められているのは「職場づくりにも貢献できる専門職」である。
姿勢や動作の専門知識でケア技術を底上げする
誤嚥やリスク管理を構造化し、現場全体で共有できるようにする
福祉用具の使い方を標準化し、事故やトラブルを防ぐ
認知症ケアに専門視点を加え、BPSDを減らす
チーム間のコミュニケーションを改善し、安全なケアフローを作る
こうした動きは、専門職としてのキャリアの幅を広げ、組織における存在価値を高めていく。
自分の専門性を活かしながら、職場そのものに良い変化をもたらすという視点を持つかどうかで、今後の働き方やキャリアの方向性は大きく変わる。
あなたの理学療法・作業療法・言語聴覚療法は、職場づくりにどれだけ貢献しているだろうか。
そこに、これからのキャリアを構築する重要なヒントがある。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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