2026年度診療報酬改定に向けた回復期リハビリテーション病棟の議論整理と今後の展望

2026年度診療報酬改定に向けて、回復期リハビリテーション病棟の在り方が大きく議論されている。

本稿では、厚労省の諮問委員会で示された論点を簡潔に整理し、今後現場がどのような視点を持つべきかについて触れる。


中央社会保険医療協議会資料(2026年11月14日)

・退院後の生活支援を念頭に、地域医療機関や介護事業所とのカンファレンスや情報共有の仕組みを確保すべきとの指摘があった。回復期リハ病棟が地域包括ケアの中でより能動的に機能する必要性が示されている。

・回復期リハ病棟と地域包括ケア病棟の役割分担や連携の在り方について、改めて議論が必要との意見があった。両者の境界が曖昧になりつつある現状を踏まえ、地域における役割を再整理する必要がある。

・実績指数の基準値や、実績要件の無い入院料区分の扱いについて、再検討の余地があるとの意見が挙がった。回復期医療が質と効率の双方を求められる中で、全入院料に在宅復帰基準が設定される可能性がある。

・ほぼ全患者が実績指数の計算対象外になる病棟があり、現行の除外基準が妥当かどうか疑問視する声があった。病棟機能を正確に反映しない可能性が指摘され、基準の再定義が検討されている。

・80歳以上や認知機能が低い患者は、FIM利得の伸びが小さいものの、それを理由に受け入れを制限すべきではないという意見が示された。実績指数から一律に除外する必要性は乏しいとの見解である。

・運動器リハビリテーション料で6単位以上実施されているケースが多いにもかかわらず、FIM利得に大きな差が見られないという指摘があった。単位増加とアウトカムの関係を改めて検証する必要がある。すなわち、60日以内の運動器疾患の患者の単位に制限がかかる可能性が高い。

・廃用症候群リハビリテーションでも7単位以上の提供例があるが、脳血管疾患リハと比較してFIM改善度が低いという声があった。単位増加の効果が頭打ちになっている可能性がある。

・退院前訪問指導は実施割合が3〜5%と低く、実施の負担に対し評価が十分ではないとの指摘があった。適切な評価が導入されれば、地域移行支援の質が大きく向上する可能性が示されている。

・これらの議論を総合すると、回復期リハビリテーション病棟には「量」よりも「質」、すなわち効率的な単位提供とアウトカムの妥当性、そして地域連携の強化が求められていると言える。

最後に、リハビリ・介護領域のコンサルタントとしての私見であるが、今回の議論は回復期リハ病棟の「選択と集中」が一段と明確化される前兆である。

FIM利得の改善が乏しい症例へのアプローチ、単位依存からの脱却、退院支援機能の強化といった論点は、今後の経営や人材配置にも大きく影響する。

改定は厳しい側面を伴うが、裏を返せば質の高い病棟はより評価される時代が到来するということである。

現場としては、アウトカムの「見える化」と地域連携の再構築を早期に進めておくことが極めて重要である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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