医療・介護業界で働く人々の給与の財源は、基本的に「社会保障費」から支払われている。
しかし、少子高齢化の進行と経済停滞により、日本の国と地方を合わせた債務残高は1,200兆円に迫り、従来のように「すべての国民に手厚い社会保障」を維持することは現実的に困難となっている。
そのため、2020年代後半の政策トレンドは「選択と集中」である。
限られた財源を、「より重症な人」「より支援が困難な人」「より自立が難しい人」に重点的に配分する方向へと進んでいる。
「難易度の高い支援」への対応力が評価される時代(表1)

これらの政策変化が意味するのは、より専門性の高い支援を行える人材ほど報酬(診療報酬・介護報酬)を得やすくなるということである。
逆に、基礎的なサービス提供だけでは差別化が難しく、賃金上昇にはつながりにくい構造になっている。
つまり、「誰にでもできる仕事」から「限られた人にしかできない仕事」へと自らを進化させることが、今後のキャリアの分岐点となる。
「マーケット感覚」を持つ医療・介護従事者へ
多くの医療・介護従事者は、日々の臨床業務やサービス提供に追われ、「自分の仕事が市場のどのニーズに応えているのか」を考える機会が少ない。
しかし、社会保障制度の構造が変化する今こそ、「市場の流れを読む力=マーケット感覚」が重要である。
市場を理解することで、どの領域に専門性を深めれば、より社会的にも経済的にも評価されるかが見えてくる。

2025年の医療・介護分野では、社会保障費の制約の中で「選択と集中」が進み、より重度・重症者への対応力や多職種連携力を持つ専門職が評価される構造が確立しつつある。
したがって、医療・介護従事者は「技術」だけでなく、「市場を見る力」を磨くことが必要である。
マーケット感覚を持つことこそが、これからの医療・介護従事者の「真の専門性」であり、将来的な高賃金・高評価につながる最も確実な道と言える。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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