オーラルフレイルについて

以前にもオーラルフレイルについて投稿させていただいたことがあるが、その投稿は少し一般向けの内容であったため、本稿はより医学的な側面から述べさせていただくことにする。

まず、オーラルフレイルの定義は、「オーラルフレイルとは、歯の喪失や食べること、話すことに代表されるさまざまな機能の『軽微な衰え』が重複し、口の機能低下の危険性が増加しているが、改善も可能な状態」とされる。

すなわち、口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』(口腔機能低下症)との中間にある状態であり、適切な介入をすることにより『健口』への改善が十分に見込まれるのがオーラルフレイルである(可逆性があるのが特徴)。

オーラルフレイルは、多くは口腔に対するリテラシーが低下することから始まるとされる。

つまり口腔への関心が低下することで、う蝕(虫歯)や歯周病となり、それを放置することで歯の喪失(残存歯数の低下)のリスクが高まる。そうなると、次の段階として滑舌低下やわずかのむせ、食べこぼしが目立つようになってくる。

また、食への変化もみられるようになり、噛めない食品が増加してきたり、固い食品を避けなるべく柔らない食品を選ぶようになる(図左)。

そうしたことが習慣化されると、図右に示すような低栄養から骨格筋量の減少、身体活動量の低下など負のループに陥ることになる。

図 オーラルフレイルによる口腔機能の負の連鎖

したがって、オーラルフレイルの弊害としては、身体的フレイルやサルコペニアになるリスクが高まること、また要介護認定や総死亡率も高くなることが挙げられる。

オーラルフレイルがない方々と比較すると、それぞれ2~2.5倍程リスクがあることが報告されている1

最後にオーラルフレイルの評価方法であるが、以下の5つの質問項目からなるOF-5(Oral frailty 5-item Checklist)がある。

残存歯数減少:自分の歯は何本ありますか?
『0~19本』で該当、『20本以上』は非該当

・咀嚼困難感:半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか?
『はい』で該当、『いいえ』は非該当

・嚥下困難感:お茶や汁物等でむせることがありますか?
『はい』で該当、『いいえ』は非該当

・口腔乾燥感:口の乾きが気になりますか?
『はい』で該当、『いいえ』は非該当

・滑舌低下(舌口唇運動機能の低下):普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか?
『はい』で該当、『いいえ』は非該当

 OF-5の5つの質問項目のうち2つ以上に該当する場合を、オーラルフレイルと評価されることになる。

参考文献
1)Tanaka T et al.:Oral Frailty as a Risk Factor for Physical Frailty and Mortality in Community Dwelling Elderly.J Gerontol A Biol Sci Med Sci73(12):1661-1667,2017

投稿者
井上拓也

理学療法士
循環認定理学療法士
心臓リハビリテーション指導士
3学会合同呼吸療法認定士
サルコペニア・フレイル指導士
国家資格キャリアコンサルタント
心電図検定1級
植込み型心臓不整脈デバイス認定士
協会指定管理者(上級)
フレイル対策推進マネジャー
地域ケア会議推進リーダー
介護予防推進リーダー
mysole協会ベーシックマイスター

循環器疾患(心臓リハビリ)や代謝疾患(糖尿病)、透析リハビリ、サルコペニア・フレイルを中心に臨床を行っている。

また、心肺運動負荷試験(CPX)も相当数経験をしており、呼気ガス分析に基づく安全かつ効果のある運動処方を展開するよう常に心がけている。

定期的にセミナー講師も務め、上記の疾患およびそのフィジカルアセスメント、心電図の判読などの情報提供も行っている。

 

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