2026年度診療報酬改定を読み解く 回復期リハ病棟の退院前訪問指導料と経過措置期間、看護・多職種協働加算のポイント

本記事の内容は、株式会社WorkShift・高木綾一による資料読解と実務上の解釈に基づく見解です。
制度の運用や算定可否は、通知、疑義解釈、施設基準、地域差、個別事例によって判断が分かれる場合があります。
実際の算定にあたっては、必ず最新の厚生労働省通知等の原文をご確認のうえ、必要に応じて各自で最終確認をお願いいたします。

2026年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の評価や、急性期病棟における多職種協働の評価など、現場の運用に直結する見直しが行われている。
その中でも、実務で特に質問が出やすいのが、退院前訪問指導料の扱い、看護・多職種協働加算の単位、そして回復期リハビリテーション病棟入院料の経過措置である。

今回は、実際に現場で出てきそうな質問をもとに、短冊、答申、点数表を踏まえて整理する。

Q1. 回復期リハビリテーション病棟で家屋調査の際に退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料は両方算定できますか?

A. 退院前訪問指導料が出来高算定になったことは明確であるが、同一訪問日における疾患別リハビリテーション料との併算定については、現時点の短冊・答申・点数表だけでは断定しにくい、というのが最も慎重な整理である。

今回の改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料の包括範囲からB007 退院前訪問指導料が除外されている。

つまり、従来は包括の中に含まれていた退院前訪問指導料が、今回の改定で出来高算定できる項目として明確に位置づけられたということである。

点数表でも、回復期リハビリテーション病棟入院料の包括から、入院栄養食事指導料、退院前訪問指導料、栄養情報連携料などが除外されている。

また、点数表本体では退院前訪問指導料は、入院期間が1月を超えると見込まれる患者の円滑な退院のために患家を訪問し、患者又は家族等に対して退院後の在宅療養上の指導を行った場合に算定するとされている。

つまり、この点数は、家屋の確認そのものよりも、退院後の療養生活に向けた訪問指導を評価するものである。

一方で、これまで現場で行っていた「家屋内動作の評価・指導」を、医療機関外における疾患別リハビリテーション料として算定していた運用は、リハビリテーション行為そのものの評価である。

したがって、制度上の性格としては、

  • 退院前訪問指導料=退院支援・在宅療養指導の評価
  • 疾患別リハビリテーション料=リハビリテーション実施の評価
    であり、両者は概念上は別である。

ただし、ここで大事なのは、同じ訪問の中で、実質的に同じ行為を二重に評価していないかという視点である。

今回確認した短冊・答申・点数表では、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料の併算定可否を直接明示した規定は確認できない。

併算定不可として明示されているのは、少なくとも点数表上では他の特定項目であり、この論点については今後の疑義解釈通知で整理される可能性が高い。

そのため、現時点で実務的に最も安全な答えは、
退院前訪問指導料が出来高で算定できるようになったことは確実である。

しかし、同一訪問日において、同一の家屋調査・動作評価・指導をもって、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料を当然に両方算定できるとは、現時点では断定しにくい、である。

Q2. 看護・多職種協働加算は、病院全病棟が要件を満たさないと算定できないのですか。それとも病棟単位で算定できますか?

A. 加算そのものは病棟単位で算定する。
ただし、この質問が出てくる背景には、急性期病院B一般入院料そのものが、病院全体の機能評価の色合いを持っていることがある。

まず、点数表ではA215 看護・多職種協働加算について、地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者のうち、急性期一般入院料4を算定している患者には看護・多職種協働加算1、急性期病院B一般入院料を算定している患者には看護・多職種協働加算2を加算するとされている。

この文言から分かるとおり、直接の算定単位は病棟である。

病院全体の全病棟が一律に算定対象にならなければならない仕組みではない。

一方で、答申や短冊をみると、看護・多職種協働加算は、急性期病院B一般入院料や急性期一般入院料4と結びついた評価として位置づけられている。

しかも急性期病院B一般入院料の評価には、重症度、医療・看護必要度だけでなく、救急搬送応需係数が組み込まれている。

短冊では、該当患者割合指数が該当患者割合+救急搬送応需係数で構成され、さらにこの係数は、病床当たり年間救急搬送受入件数年間救急搬送件数など、病院全体の救急対応実績と強く関係する形で設計されている。

つまり、現場が混乱するのは当然である。

加算は病棟単位であるが、その前提となる急性期病院B一般入院料の成立には、病院全体の実績や機能が反映されやすいからである。

したがって、結論は次のようになる。

看護・多職種協働加算そのものは病棟単位で届出・算定する。

しかし、質問が「病院全体で取れないと無理なのか」となりやすいのは、急性期病院B一般入院料が、救急搬送受入や重症患者割合など、病院全体の機能を反映しやすい設計になっているためである。

要するに、
加算の算定単位は病棟、ただし前提となる入院料の成立には病院全体の機能が影響しやすい、という二層構造で理解するのが最も実務的である。

Q3. 回復期リハビリテーション病棟入院料2または4を改定前から算定していた場合、2026年9月30日までの経過措置の間、どの期間の実績指数を見ればよいですか?

A. 2026年9月30日までは、改定前から入院料2又は4を届け出ていた病棟は、実績指数要件を満たすものとみなされる。したがって、経過措置期間中は直ちに新実績指数を満たしていることを示さなければならないわけではない。

短冊では、A308 回復期リハビリテーション病棟入院料について、令和8年3月31日において現に回復期リハビリテーション病棟入院料2又は4に係る届出を行っている病棟は、令和8年9月30日までリハビリテーション実績指数に関する実績要件に該当するものとみなすとされている。

これは経過措置そのものであり、9月30日までは新基準への即時適合を求めないという意味である。

したがって、2026年9月30日までについては、
どの6か月を用いて新実績指数を提出しなければならないかという発想より、
9月末までは経過措置により維持される
と理解する方が正確である。

そのうえで、10月1日以降も入院料2又は4を維持するためには、通常の実績指数の判定に戻ると考えるのが自然である。

回復期リハ病棟の実績指数は、通知上、4月・7月・10月・1月に、前月までの6か月間で算出するルールで運用されている。

したがって、経過措置終了後の最初の本格的な判定を10月に行うとすれば、通常は2026年4月から9月までの6か月実績を土台に考えるのが自然である。

これは通常ルールからの実務的な読みである。

つまり、実務上は次のように整理すると分かりやすい。

  • 2026年9月30日までは、改定前から入院料2又は4を届け出ていた病棟はみなし適合である。
  • したがって、経過措置中に新指数を満たしているかどうかで直ちに区分変更になるわけではない。
  • ただし、10月以降を見据えるなら、2026年4月から9月の実績を意識して準備する必要がある。

要するに、
経過措置期間中は“維持のための猶予期間”であり、その後の通常判定に備えて実績を整える期間と考えるのが妥当である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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