2026年度診療報酬改定で変わる回復期リハビリテーション病棟の実績の見える化と高次脳機能障害者への退院支援強化を読む

2026年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟に対して、質の説明責任と退院後を見据えた支援の強化がより明確に求められた。

今回の見直しで注目すべきは、リハビリテーション実績指数等の公開方法の変更と、高次脳機能障害者に対する退院支援の明文化である。

いずれも、入院中の成果だけでなく、地域生活への移行までを含めて病棟の役割を問う内容である。

まず、リハビリテーション実績指数等は、院内掲示に加えてウェブサイトへの掲載が求められることとなった。

これにより、回復期リハビリテーション病棟の実績が患者、家族、紹介元医療機関にとって比較しやすくなる。

病棟側にとっては、自院の取り組みを対外的に示す機会になる一方、数値の意味を十分に説明できなければ、単純比較だけが先行するおそれもある。

実績指数は重要な指標であるが、それだけで病棟の価値を語り切れるわけではない。

疾患構成や重症度、在棟日数との関係も含めて伝える姿勢が必要である。

次に、高次脳機能障害者への退院支援では、利用可能な支援機関や障害福祉サービス事業所等の情報をあらかじめ把握し、退院時に本人や家族へ説明し、必要に応じて情報提供を行うことが求められた。

これは、高次脳機能障害者が退院後に孤立しやすく、医療だけでは生活支援を完結できない現実を踏まえた改定である。

回復期リハビリテーション病棟は、機能回復を担う場であると同時に、社会復帰への橋渡し役としての責任をさらに強く負うことになった。

ただし、実施に向けた懸念点もある。

第一に、ウェブ掲載への対応である。

自院ホームページの更新体制が脆弱な病院では、掲示内容の整理や更新頻度の管理が負担になりうる。

第二に、高次脳機能障害者支援では、地域資源の把握に相当の手間を要する点である。

担当者個人の力量に依存すると、支援の質にばらつきが生じる。

第三に、本人や家族への説明を行っても、退院後の受け皿が不足していれば実効性は乏しい。

つまり、病棟内の努力だけでは解決できない課題が残るのである。

今回の改定は、回復期リハビリテーション病棟に対し、成果の公表と退院後の生活支援という二つの責任をより明確に課したものといえる。

数値を示すだけでも、退院調整を形式的にこなすだけでも不十分である。

患者が地域で暮らし続けられるかという視点から、病棟機能そのものが改めて問われているのである。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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