2026年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の評価の考え方がさらに明確になった。
患者の改善をどう示すのか、限られた入院期間の中でどのように成果を出すのか、そして病棟全体としてどのような運営を行うのかが、これまで以上に問われる改定である。

まず注目すべきは、休日リハビリテーション体制の見直しである。
回復期リハビリテーション病棟入院料1・2に加え、3・4でも土曜日、休日を含めた全ての日にリハビリテーションを提供できる体制が要件化された点は大きい。
一方で、入院料1・2では土曜日、休日の1日当たり平均3単位以上が求められているのに対し、3・4では単位数の明確な規定が示されていない。
つまり、入院料3・4は体制のみを満たせばよいのか、それとも実質的な提供量も求められるのかは、今後の通知や疑義解釈で確認が必要である。
この論点は現場運営に直結するため、見落としてはならない。
次に、リハビリテーション実績指数の算出方法の見直しである。
今回、FIM運動項目のうち歩行・車椅子とトイレ動作について、入棟時または入棟中に5点以下で、退棟時または退室時に6点以上となった場合、分子に各1点を加える扱いとなった。
ここには政策的な意図がある。
歩行・車椅子移動、トイレ動作はいずれも退院後の生活を大きく左右し、介助量の変化が家族負担や在宅復帰の成否に直結しやすい項目である。
単なるADL全体の点数上昇ではなく、生活場面での自立度向上をより評価しようとする流れが見て取れる。

もっとも、FIMの上昇が得にくい病棟もある。
高齢、併存疾患、認知機能低下、重症度の高さなどにより、大きな点数上昇が生じにくい患者層を多く抱える病棟では、在棟日数の管理がこれまで以上に重要になる。
実績指数は改善幅だけでなく在棟日数の影響を受けるため、必要以上の長期入院は指数を押し下げる要因となる。
改善を待つだけではなく、日々の関わりを退院時の生活に結びつけ、適切な時期に退院へ導く視点が欠かせない。
さらに、回復期リハビリテーション強化体制加算の新設も重要である。
これは回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出ている病棟が対象であり、実績指数48以上に加え、排尿自立支援加算の届け出が必要で、また、摂食嚥下機能回復体制加算1に係る届け出が望ましいとされている。
つまり、関連加算の届け出そのものが要件に組み込まれたのである。
そのうえで、直近6か月間に自宅へ退院した患者のうち1割以上に退院前訪問指導を実施していることが実績要件となった。
ここで問われているのは、病棟内の機能回復だけではなく、自宅で暮らすことを見据えた支援をどこまで具体化できているかである。

今回の2026年度診療報酬改定は、回復期リハビリテーション病棟に対し、休日も含めた提供体制、生活場面を意識したADL改善、在院日数の適正化、そして在宅復帰支援の実効性を一体として求めた改定である。
病棟に必要なのは、単位数を積み上げる発想ではない。
患者の暮らしにどう結びついたかを示せる運営へ転換できるかが、今後の分かれ目になるのである。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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