2026年度診療報酬改定 包括期充実体制加算が示す軽度急性期対応とリハビリテーションの責任

包括期充実体制加算は、急性期一般を自前で持たない中小病院に対し、「軽度〜中等度の急性期(高齢者救急を含む)を地域で受け止め、在宅・施設へ戻す出口までを担え」という役割を明確に突きつける設計である。

点数は80点/日、入院日から起算して14日を限度とする。

対象は地域包括医療病棟入院料(A304)または地域包括ケア病棟入院料(A308-3)を算定する病棟であり、急性期病院一般入院料・急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しないことが前提となる(図1)。

図1 包括期充実体制加算

ここで重要なのは、「急性期を持たない=急性期患者を取らない」ではない点である。

他院からの急性期患者の受け入れは当然行う。

しかし、本質は高度急性期の後工程に特化せよというより、地域の救急需要のうち、入院での全身管理と生活調整を要する層を包括期の枠で引き受けよ、というメッセージである。

高齢者救急は治療が終わっても、せん妄、低栄養、廃用、家族の介護力不足といった生活課題が残りやすい。

ここで出口を作れなければ、救急入口が詰まり、地域全体が渋滞するのである。

施設基準には、許可病床数200床未満(地域により280床未満)といった規模要件に加え、高齢者救急の受入と在宅医療・介護保険施設等への後方支援を担うための体制、そして後方支援に係る実績が求められる。

さらに入退院支援加算1の届出が条件であり、加算算定は単なる病床確保ではなく、退院支援を運用として回しているかどうかの証明である。

経過措置もあるが、移行期にこそ運用の実装が問われる。

リハビリの視点では、同加算の算定期間14日という短い期間は、急性期管理と生活再建を同時に進める局面に一致する。

PT/OT/STは病棟内の離床、移動、トイレ、更衣といった実動作を起点に、栄養・口腔・認知機能・薬剤の課題を多職種と統合し、退院後の生活像から逆算して介入を組み立てる必要がある。

福祉用具選定、家屋評価、介護者指導を入院中に終えることが、再入院予防の最短ルートである。

包括期モデルの成否は、病院単体の努力では決まらない。

紹介・逆紹介の流れ、在宅医療、施設、ケアマネジャーとの接続が日常的に機能しているかが全てである。

つまり、この加算は、急性期一般を持たない中小病院に対し、地域の救急を支えるハブとしての責任を要求していると考えられる。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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