2026年度診療報酬改定 リハビリ部門の土日祝出勤は気合では回らない!環境整備が先である!

2026年度診療報酬改定は一段と強くリハビリ職員に土日祝の出勤を求める方向に明確に舵を切ったと言える。

回復期では、休日を含めた全日でリハビリを提供できる体制を求めた上で、土曜日・休日の1日当たり提供単位数も平均3単位以上など、曜日で著しい差が出ない運用を求めている。

急性期でも同様である。

発症早期の介入を強める観点から、早期リハビリテーション加算は入院日から起算して3日目以内を増点し、4日目以降を減点、さらに加算期間を入院日から14日目までとする整理が示されている。

そのうえで、土日祝の実施を評価するために休日リハビリテーション加算を新設する方向が明記されている。

休日にリハビリを行った場合に1単位につき25点を加算し、30日目までを限度とする枠組みが示されている。

さらに、高齢者の生活を支えるケアの文脈で、入院後48時間以内の介入が求められるリハビリ・栄養・口腔の一体的な取組をより推進するために、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件見直しや、加算2の新設が示され、地域包括医療病棟等にも同様の見直しを行うとしている。

加えて、地域包括ケア病棟でも算定可能とする方針が明記されている。

ここで問題になるのは、制度の方向性よりも現場の摩擦である。

実際、土日祝休みを前提に入職した職員が途中変更に抵抗感を示す
家族時間の確保を理由に拒否反応が出る
他職種には手当があるのにセラピストにはない
賃金が変わらないのに負担だけ増えると感じる
そもそも仕事内容や患者層が違うので看護師の土日祝出勤の単純比較はおかしい
といった論点が現場に同時多発で起きる。

ここを無視して土日祝出勤だけを押し付けると、人員流出が起きる。

したがって、テーマは土日祝出勤の是非ではなく、土日祝出勤を回せる環境整備である。

環境整備は大きく3層に分けて設計するのがよい。

1層目はルールである。

就業条件が変わるなら、病院は説明責任を果たし、現場は情報の透明性を担保する必要がある。

いつから、誰が、どの頻度で、何を、どこまで行うのかを言語化し、勤務表の原則、代休の扱い、オンコールの有無、休日の業務範囲を明文化する。

あいまいなまま始めると不公平感が増幅する。

就業条件の変更は、不利益変更にならないよう慎重に扱うべきである。

土日祝勤務を新たに求めるなら、就業規則・雇用契約の整合性を確認し、目的と運用(頻度、代休、手当、業務範囲)を具体に示した上で、十分な説明と合意形成を行う必要がある。

曖昧な運用は不公平感と離職を招くため、個別事情への配慮も含めて段階導入が望ましい。

2層目は報酬と納得感である

土日祝勤務は献身ではなく運用である。

運用にするには、手当または代替のメリット設計が必要となる。

手当が難しいなら、休日勤務者に対して平日の希望休を取りやすくする、育児・介護者に限定した配慮枠を設ける、休日勤務を評価して昇給・評価に反映するなど、何らかの形で負担とリターンを釣り合わせる設計が要る。

特に、他職種との手当差が可視化されている職場では、ここを放置すると職種間の分断が進む。

3層目は人員と業務設計である。

土日祝を回すには、平日と同じことを休日に上乗せする発想を捨てる必要がある。

休日にやるべき介入を絞り、標準化し、短時間で質を担保することが鍵となる。

回復期なら曜日差を減らすことが目的なので、休日は全員が同じ濃度でやるのではなく、対象患者の優先順位を明確にし、担当割り当てを固定化する。

急性期なら早期介入の重点期間がより明確になるため、入院直後の優先順位付けと、病棟看護・他職種とのタスク分担をセットで設計する。

現場でよく起きる失敗は、精神論で押し切ることである。

看護師も出ているのに、という言い方は一見正論に見えるが、採用時の条件、家庭状況、手当の有無、業務構造が違えば反発は合理的に生まれる。

対立を作るより、病院として何を守り、何を変えるのかを先に示すほうが強い。

実務としては、次の順序で整えると破綻しにくい。

第一に、対象を限定して小さく始める

毎週土日祝フル稼働ではなく、まずは隔週、午前のみ、特定病棟のみなど、運用可能なサイズに落とす。

回復期は曜日差を減らす設計が求められるため、休日の担当者数と提供単位の最低ラインを決め、平日側の過重を増やさない形で試行する。

第二に、勤務の公平性を見える化する

年間での土日祝勤務回数、希望休取得率、代休消化率を職員が確認できる形にする。

公平性は感情ではなくデータで担保する。

第三に、休日に求めるリハの定義を作る

休日にしかできない価値は何かを決め、標準手順に落とす。

急性期なら入院直後の離床や合併症予防、回復期なら活動量と生活動作の連続性を守る介入など、休日の目的を臨床アウトカムに接続する。

制度上も休日実施を評価する方向が示されている以上、休日を単なる単位稼ぎにしない設計が必要である。

土日祝出勤は、現場の善意で回すものではない。

改定が求めているのは、体制と実績を継続的に出せる病棟運用である。

だからこそ、管理職がやるべきことは、誰かの覚悟を引き出すことではなく、ルール、報酬と納得感、業務設計の3点を揃えて摩擦を減らすことである。

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筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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