今回の改定は、診療所が担う外来と在宅の機能を、理念ではなく運用実態で示せるように再設計した点に本質がある。
とくに、2026年1月より登録が始まったかかりつけ医機能報告制度と、診療報酬改定における外来・在宅医療・訪問看護の質確保が同じ流れで整理されている。
かかりつけ医機能報告制度の概要→https://x.gd/BWsS7
かかりつけ医機能に関わる外来の改定
生活習慣病管理では、単に計画書を作るだけでなく、診療の質を担保する最低限の検査頻度を求めつつ、事務負担は減らす方向が示された。
これは、報告制度が求める機能の実装、すなわち再現性ある管理に沿う。
現行→改定で変わる点
生活習慣病管理料
- 生活習慣病管理料Ⅰ:血液検査等を原則として少なくとも6か月に1回以上実施する要件を追加
- 生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱ:療養計画書の患者署名を不要化(患者・医療機関の負担軽減)
- データ提出や実績評価の考え方を整理し、質の高い生活習慣病管理をより評価する枠組みを強化
時間外対応の改定
時間外の問い合わせ対応は、かかりつけ機能の中核である。
改定では評価を引き上げ、名称も時間外対応体制加算へ変更される。
単なるラベル替えではなく、体制整備を地域に示すことが目的である。
- 時間外対応加算の評価を引き上げ
- 名称を時間外対応体制加算に変更
- 休日・夜間の問い合わせ対応を通じて軽症の病院受診を減らし、病院勤務医の負担軽減につなげる狙いを明確化
在宅医療の改定
在宅側は、緩和ケアや看取りを担う体制の評価を見直す方針が示されている。
往診料に関連する加算の整理や名称の見直しを通じ、終末期・退院直後・連携の質を制度で担保しにくる。
ここは診療所経営者にとって、組織の運用がそのまま収益構造に跳ね返る領域である。
- 在宅療養支援診療所・病院:施設基準に業務継続計画(BCP)の策定と定期的見直しを追加(経過措置あり)
- 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算:名称を見直した上で要件・評価を見直し
- 終末期や退院直後の支援を、医科単独ではなくチームで回す前提を強める
訪問看護の改定
訪問看護は、運用ルールの強制力が一段上がる。
申請・届出・請求を適正に行う義務、健康保険事業の健全運営、特定医師や特定事業者への誘導禁止、経済的利益による誘引禁止を明文化し、さらに安全管理体制と記録整備を義務付ける。
ここで重要なのは、現場の善意ではなく、誰が見ても同じ運用になる仕組みへ落とし込むことである。
- 適正な手続きの確保:申請・届出・請求手続きを適正に行う義務を明記
- 健康保険事業の健全な運営の確保を義務付け
- 経済上の利益による誘引の禁止、特定医師・特定サービス事業者等への誘導の禁止を明文化
- 事故発生時等の安全管理体制確保、訪問看護記録書等の記録整備を義務付け
- 訪問看護医療情報連携加算を新設:他職種がICTで記録した診療情報等を活用し、計画的管理を行った場合に月1回評価
- 包括型訪問看護療養費を新設:24時間体制で頻回訪問が必要なケースを1日当たりで包括評価
診療所は機能を
言語化できるかが問われる
かかりつけ医機能報告制度が可視化するのは、単なるメニューの有無ではなく、地域で機能を回せているかである。
今回の改定は、外来管理の質、時間外対応、在宅のBCP、訪問看護の適正化とICT連携を一つの方向にそろえ,かかりつけ医機能報告制度に繋げている。
在宅をやっている診療所ほど、連携の入口(紹介・相談)と出口(記録・請求)を一本の運用でつなぎ、監査耐性のある仕組みを持つことが競争力になる。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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