「中医協 総-2(2026年1月23日付)」の短冊(資料)よりリハビリテーション関連の項目を解説する。
今回は回復期リハビリの実績指数について解説する。
回復期は「高齢者が多いから数字が出ない」が通用しにくくなる改定である。
リハビリテーション実績指数は、これまで以上にアウトカム評価としての顔を強める一方で、現場側には「取りに行く指標」が明確に提示されたとも言える。
今回の肝は、FIM運動の中でも「歩行・車椅子」「トイレ動作」が点数に影響を与える項目として明確化されたことだ。
入棟中に当該項目が5点以下から6点以上へ上がった場合、分子のFIM運動項目利得に1点を加える取り扱いとなる。
つまり「監視・準備が必要」な水準から「修正自立(介助なし)」へ到達した改善が、指数上も報われやすくなる設計である。
歩行とトイレは在宅復帰の象徴であり、評価の焦点を生活機能の核心に寄せた意図が透ける。
同時に公平性の名の下で、除外の考え方が変わる。
実績指数の算出から除外できた「80歳以上」が削除される。
高齢であること自体は免罪符にならないというメッセージである。
さらに認知面の除外基準は、FIM認知24点以下から14点以下へと厳格化される。
認知低下を理由に最初から対象外としやすかった運用は絞られ、認知を含めた支援の質が問われる方向に舵が切られた。
加えて、FIM運動20点以下の除外要件にも条件が付く。
疾患別リハの実施単位数が1日平均6単位を超える場合は除外対象から外す、つまり「重度でも十分に介入しているなら指数計算に入れる」方向である。
ここには、重度への介入成果も評価に乗せるべきだという思想がある。
一方で、単位数と指数の関係がより強く意識されるため、介入量の設計が倫理と表裏一体になる点には注意が必要である。
では、アウトカム評価は公平になったのか。
それとも、取りに行く指標が増えただけなのか。
答えは両方である。
年齢や認知で逃げにくくなり公平性は増す。
しかし、歩行・トイレ動作の閾値(5→6)という狙いどころが明文化され、現場にとっては戦略課題になる。
しかも、たとえ算出対象から除外する場合であってもFIM測定は求められる。
データ提出と説明責任の時代である。
結局、問われるのは小手先の点取りではなく、生活機能の回復を本気で積み上げるチーム力である。
歩行とトイレを「毎日どこまで自立に寄せるか」を病棟全体で運用し、重度者・認知症者でも支援する体制を作り、評価と記録を揃えることが最短のマネジメント対応となる。
公平性が増した分だけ、誤魔化しは効かない。
回復期は、数字が厳しくなるのではない。
生活に直結する成果だけが、より露骨に可視化されたと言える。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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