外来・通所リハビリに求められる
「運動を続けさせる視点」
外来リハビリや通所リハビリ、通所介護の現場では、「その場では良くなるが、しばらくすると元に戻る」「再発して戻ってくる」というケースを日常的に目にする。
これは決して珍しい話ではない。
背景の一つに、医療保険によるリハビリテーションには明確な期限があるという制度的な制約がある。
運動器疾患では、原則として150日以内という枠の中でしか医療保険を用いたリハビリを提供できない。
その結果、機能改善の途中、あるいは維持・定着の段階に入る前にリハビリが終了してしまうケースが少なくない。
また、通所リハビリや通所介護に移行したとしても、利用頻度は週1~3回程度が一般的である。
利用日以外の時間は、本人の生活に委ねられることになる。
この「空白の時間」をどう過ごすかによって、その後の経過は大きく変わる(図1)。
図1 運動継続の有無が予後に影響する
実際、利用頻度が少ない利用者ほど、心身機能の低下や症状の再燃を起こしやすい傾向がある。
だからこそ重要になるのが、「運動をやってもらう」ではなく、「運動を続けられる状態をつくる」視点である。
外来リハビリ、通所リハビリ、通所介護の役割は、単にその場の介入に留まらない。
リハビリの開始時点から、終了後も含めて、本人が自ら機能回復・機能維持に取り組めるよう支援し、教育することが求められている。
アドヒアランスという考え方
運動継続支援を考えるうえで、避けて通れない概念がアドヒアランスである。
アドヒアランスとは、医療や介護の提供者と患者・利用者が協力的な関係を築き、本人が主体的に治療やリハビリに参加する状態を指す。
リハビリの成果は、提供者の技術だけで決まるものではない。
本人がどれだけ理解し、納得し、日常生活の中で行動に移せるかによって結果は大きく左右される。
特に医療・介護の現場では、次のような場面でアドヒアランスの有無が明確に表れる。
- リハビリや運動を継続できるかどうか
- 処方された薬を指示通りに服用できているか
- 運動、食事、睡眠など生活習慣を見直せているか
- 喫煙や過度な飲酒など、リスク行動を減らせているか
多くの支援者が実感している通り、医療や介護は「やってあげる」だけでは効果が出にくい。
特に運動やリハビリは、短期間で劇的な変化が出るものではないため、時間をかけて継続すること自体が最大のハードルとなる。
そのため、運動内容の正しさ以上に、「なぜやるのか」「やらないとどうなるのか」「自分の生活にどう結びつくのか」を本人が理解し、納得しているかが重要になる。
モチベーションを個人の意欲だけに委ねるのではなく、続けられる仕組みと関係性をどうつくるか。
これが、これからの外来・通所系サービスに求められる視点である。
疾患別リハビリテーションに関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略と人材育成に精通し、年間100回以上の講演・研修を行っている。
病院・介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と現場力の向上をサポートしている。
著書には「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」に加え、
『外来リハ・通所リハ・通所介護のリハビリテーション(運動器疾患編/組織マネジメントと高齢者リハビリ編)』
『リハビリテーション職種の在宅リハビリ・ケア』
などがある。
理学療法士として、呼吸リハビリテーションおよび運動器リハビリテーションを専門とし、
臨床・教育・マネジメントを横断した実践的な知識と技術を提供している。
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