2026年度診療報酬改定に向けた基本方針議論の要点整理

社会保障審議会・医療部会では、2026年度診療報酬改定に向けた「基本方針(骨子案)」について集中的な議論が行われた。

主な論点は以下の通りである。

【視点1】物価・賃金・人手不足など環境変化への対応(重点課題)

  • 医療分野の賃上げ率は他産業(5%超)に比べ低く、病院では約3%にとどまる
  • 2026年度改定では、2024・25年度分で他産業に届かなかった賃上げ分も含めた対応が必要
  • 公務員給与引き上げ勧告に準じ、医療分野でも同程度の賃上げを実現すべき
  • 人材確保困難を踏まえ、人員配置基準の柔軟化を求める声
  • 一方、保険者・経済界からは「視点1偏重」や「一律対応」への懸念も示された

【リハビリ部門との関係】
→ リハ職の賃金水準是正、人員確保、配置基準見直しは部門存続に直結する課題である。

【視点2】2040年を見据えた機能分化・連携と地域医療確保

  • 地方では在宅医療・訪問看護の提供コストが高く、人口密集地と同一報酬では困難
  • 都市部では高齢救急患者の増加に対し、中小病院の役割強化が重要
  • 巨大急性期病院の肥大化を抑制し、機能の適正化が必要
  • かかりつけ医機能の充実・強化が不可欠

【リハビリ部門との関係】
→ 在宅・回復期・生活期リハの役割拡大と、地域特性を踏まえた評価が求められる。

【視点3】安心・安全で質の高い医療の推進

  • 医療DXとセットで人員配置基準の緩和を検討すべきとの意見
  • 医療DX・病院DXを支える診療報酬上の評価が必要
  • 安心・安全なオンライン診療の推進
  • 一方で、人員削減による医療安全・職員負担増を懸念する慎重論も存在

【リハビリ部門との関係】
→ リハDX(記録・情報共有・遠隔支援)推進と、業務効率化の評価が焦点となる。

【視点4】効率化・適正化による制度の持続可能性

  • OTC類似薬の保険除外には、患者負担増や重症化リスクから反対意見
  • 現役世代の保険料負担抑制は「努力」ではなく「実現」を求める声

【リハビリ部門との関係】
→ 医療費抑制論の中で、リハビリの価値と必要性を可視化することが重要となる。

【今後の課題(2028年度以降も見据えて)】

  • 診療報酬収益で経営が成り立つ点数水準の検証
  • 物価・賃金に連動する診療報酬スライド制度の検討
  • 診療報酬の役割(対価+提供体制維持)を国民に分かりやすく説明
  • 医療費抑制が「医療崩壊」「命の格差」につながる危険性の周知
  • 課題の先送りを防ぎ、実効性ある議論を継続すべき

【リハビリ部門との関係】
→ 医療インフラとしてのリハビリの位置づけを、制度上明確に示す必要がある。

診療報酬改定に関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

関連記事