介護施設におけるリハビリ職種の専門性とは何か ―「できるADL」を「しているADL」に変えるという視点―

皆様は、介護施設において求められるリハビリ職種の専門性とは何であるとお考えでしょうか。

私は、「できるADL」をいかに生活の中に反映できるか、すなわち「できるADLを、実際に行っているADLに変えていくこと」こそが、介護施設におけるリハビリ職種の本質的な役割であると考えています。

このように表現した場合、重要となるのは、できるADLを高めるための個別リハビリテーションだけではありません。

むしろ、それと並行して行う環境調整が極めて重要になります。

ここでいう環境調整とは、福祉用具や手すりの設置といった物理的環境の調整にとどまりません。

より重要なのは、人的環境の調整です。

介護職や看護職など他職種との連携の中で、リハビリ職種が持つ「できるADLを引き出すための介助技術」や視点を、日常の生活場面に落とし込めるかどうかが問われます(図1)。

図1 できるADLを引き出すための環境調整や介助技術

当然ながら、介護施設に配置されるリハビリ職種が、すべての利用者のすべての生活場面に直接関わることは現実的に不可能です。

だからこそ、積極的にケアの現場へ関与し、他職種とともに生活全体の質を底上げしていくことが重要となります。

これこそが、介護施設においてリハビリ職種に求められる専門性であると考えます。

特に、介護施設――すなわち、その場所が「住まい」として存在する特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなどにおいては、リハビリ職種が提供する個別リハビリテーションに対する報酬は非常に小さく、100名規模の施設でなければ人件費を賄うことすら難しいのが現状です。

そのような状況下では、施設経営の視点から「何のためにリハビリ職種を配置するのか」という問いが避けられません。

今後、介護施設におけるリハビリ職種の職域が広がっていくかどうかは、生活の質・ケアの質という品質”の向上にどれだけ寄与できているか、そしてチームケアの核となる専門性を発揮できているかにかかっていると考えます。

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投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯SOMPOケア株式会社
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当

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