リハビリ部門あるある ビジョンなき上司の丸投げほどひどいものはない

リハビリテーション部門で頻繁に見られる光景として、「上司がビジョンを示さないまま意見を求める」という丸投げ型のマネジメントがある。

この行為は一見すると部下の自主性を尊重しているように見えるが、実際には組織運営上、愚策中の愚策である。

ドラッカーは「マネジメントの役割は方向を示すことから始まる」と明言している。

方向性が共有されていない状態は、組織行動論における役割曖昧性を生み出し、ストレス増大とパフォーマンス低下を招く。

ビジョンなき丸投げが最悪である理由は、 判断基準が存在しないまま仕事を依頼される 点にある。

例えば「来年度のリハビリ部門の強化ポイントを考えてほしい」と部下に依頼しても、病院として何を目指すのか、地域戦略や数値目標がどこにあるのかが示されていなければ、意見は散らばり質も低くなる。

リハビリ部門では「計画書作成方針の丸投げ」「カンファレンス運営の丸投げ」「加算取得の戦略なき依頼」などが頻発する。

しかし、これは部下の能力の問題ではなく、ビジョン・方向性・基準を上司が示さないことが根本原因である。

本来、上司が示すべきものは難解な戦略ではなく、「最低限の方向性」「価値基準」「優先順位」の3つである。

これらが示されれば部下は主体的に動き、意見の質も高まる。逆に丸投げは意思決定の放棄であり、組織の力を弱める行為にほかならない。

ビジョンを語る上司がいる組織は強くなる。リハビリ部門の未来をつくるためには、まず上司が方向と基準を示すことから全てが始まるのである。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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