ICD(図)とは、植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator)のことであり、植込み型心臓電気デバイス(Cardiac Implantable Electronic Device: CIED)の一種である(他に、ペースメーカや心臓再同期療法(CRT)などが含まれる)。
ICDは、常に心臓をモニタリングして、心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)や心室細動(ventricular fibrillation:VF)といった致死的不整脈の検出を行っている。
致死的不整脈が検出されると、適切な治療を行うことで心臓突然死を予防する機器である。

図 植込み型除細動器(ICD)
ICDの適応としては、一次予防と二次予防がある。
一次予防は過去に持続性VTやVFの既往歴はないが、心臓突然死や心臓突然死を誘発するような危険な不整脈を有するといったリスクの高い場合である。
二次予防は過去に心肺停止(Cardiopulmonary arrest:CPA)や持続性VT、VFの既往歴がある場合である。
一次予防・二次予防ともにその有用性が示されている1),2),3),4),5),6)。
ICDの治療方法として、抗頻拍ペーシング(Antitachycardia pacing:ATP)とショック治療(カルディオバージョン[Cardioversion:CV]および除細動[defibrillation])がある。
抗頻拍ペーシング(ATP)は、持続性VT(特に単形性リエントリー性VTに良い適応)に対し、頻拍周期よりも短い(速い)周期でペーシングを行い、頻拍を停止させるものである。
この頻拍停止のメカニズムとして、リエントリー回路内にペーシング刺激が侵入することにより、頻拍の興奮とペーシング刺激が衝突したり、あるいはペーシング刺激が先に興奮することでリエントリー内に不応期(一度、興奮した後、刺激に反応できない期間)を残すことで頻拍が停止するとされている。
カルディオバージョン(CV)は、ATPでVTが停止しない場合に、VTの波形に同期させたショック治療を行い、頻拍を停止させるものである。
除細動は、VFに対し救命のために早期に高出力で電気ショックを行い、VFを停止させるものである。
基本的にVF下では、患者は意識消失しているため電気ショックを自覚することはない。
しかし、ICDの不適切作動(VTをVFと誤認識する)などがあると、患者は意識がある状態で電気ショックを受け、強烈な痛みとして自覚することになる。
ショック作動後にはメンタル面が低下し、活動量が減少したり、QOLが低下したりする場合が多いことが知られている。
そのため、ショック作動後の患者に対しては、薬物療法や心理療法(認知行動療法)などメンタルケアも非常に重要である。
参考文献
1)Antiarrhythmics versus Implantable Defibrillatiors(AVID) Investigators.A comparison of antiarrhythmic-drug therapy with implantable defibrillators in patients resuscitated from near-fatal ventricular arrhythmias.N Engl J Med.1997;337(22):1576-1583
2)ConnollySJ et al:Canadian implantable defibrillator study(CIDS):a randomized trial of the implantable cardioverter defibrillator against amiodarone. Circulation.2000;101(11):1297-1302
3)Kuck KH et al:Randomized comparison of antiarrhythmic drug therapy with implantable defibrillators in patients resuscitated from cardiac arrest;the cardiac arrest study Hamburg(CASH).Circulation.2000;102:748-754
4)Moss AJ et al: for the multicenter automatic defibrillator implantation trial investigators:Improved survival with an implanted defibrillator in patients with coronary disease at high risk for ventricular arrhythmia.N Engl J Med.1996;335:1933-1940
5) Moss AJ et al: for the multicenter automatic defibrillator implantation trial Ⅱ investigators:Prophylactic implantation of a defibrillator in patients with myocardial infarction and reduced ejection fraction.N Engl J Med.2002;346:877-883
6)Buxton AE et al:A randomized study of the prevention of sudden death in patients with coronary artery disease.Multicenter Unsustained Tachycardia Trial Investigators.N Engl J Med.1999;341(25):1882-1890
投稿者
井上拓也

理学療法士
循環認定理学療法士
心臓リハビリテーション指導士
3学会合同呼吸療法認定士
サルコペニア・フレイル指導士
国家資格キャリアコンサルタント
心電図検定1級
協会指定管理者(上級)
フレイル対策推進マネジャー
地域ケア会議推進リーダー
介護予防推進リーダー
mysole協会ベーシックマイスター
循環器疾患(心臓リハビリ)や代謝疾患(糖尿病)、透析リハビリ、サルコペニア・フレイルを中心に臨床を行っている。
また、心肺運動負荷試験(CPX)も相当数経験をしており、呼気ガス分析に基づく安全かつ効果のある運動処方を展開するよう常に心がけている。
定期的にセミナー講師も務め、上記の疾患およびそのフィジカルアセスメント、心電図の判読などの情報提供も行っている。
