リハビリ部門のマネジメントを考えるとき、多くの管理者は人員配置や成果指標、教育研修といった要素に注目しがちである。
しかし、実際には職場の基盤を支える「就業規則」の活用こそが、組織を安定的かつ効率的に運営するために欠かせない要素である。
就業規則には服務規程、倫理規定、社内ルールが体系的に整理されている。
これらは本来、職員の行動を統一し、トラブルを未然に防ぐために存在する。
しかし現場では、採用や労務管理の場面で一度読み合わせをした後は、ほとんど活用されることなく眠っている場合が多い。これは非常にもったいない状況である。
ここで一度、リハビリ部門の現場に立ち返って考えてみたい。
例えば、若手スタッフが患者対応で困ったとき、服務規程を参照すれば判断の軸が明確になる。また、倫理規定を共有することで、リスクの高い臨床判断や研究活動における不正を防止できる。
さらに、社内ルールを現場のケースに照らして運用することで、業務のばらつきを抑え、部門全体のアウトカムを底上げすることが可能となる。
動画でも触れているが、就業規則を「管理者が守らせるための道具」としてのみ位置づけるのではなく、「スタッフが安心して働くための拠り所」として提示することが肝要である。
そうすることで、規則は単なる制約ではなく、職員を支える指針へと変わる。
また、マネジメントの観点からは、就業規則を定期的に見直す仕組みを導入すべきである。
医療・介護の制度改定や社会的価値観の変化に応じて、服務規程や倫理規定の内容を刷新することは、リハビリ部門の信頼性を高める行為に直結する。
見直しの過程でスタッフを巻き込めば、規則は現場に根差した実効性のあるものとなり、遵守意識も高まる。
結局のところ、就業規則は紙の上の取り決めではなく、組織文化を形成する重要な資源である。
リハビリ部門が安定的に成果を生み出すためには、服務規程・倫理規定・社内ルールを積極的に活用し、日々のマネジメントの中に組み込むことが求められるのである。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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