2040年、日本は高齢者人口のピークと生産年齢人口の縮小が同時進行する。
地域包括ケアの一層の深化、医療・介護・予防・生活支援の面で「切れ目ない連携」を地域事情に応じて再設計することが前提条件である。
厚労省は2040年を見据え、連携強化と効率的なサービス提供体制を政策方針として明示している。
2024年のトリプル改定は、その中継点である。
訪問看護では「24時間対応体制加算」に労務負担軽減(勤務間隔の確保、夜間連続回数の上限、ICTの活用等)を要件化し、持続可能な夜間・緊急対応を制度的に後押しした。
単に「がんばる体制」から「守られる仕組み」への転換である。
同時に、在宅医療の提供網では在支診・在支病との連携を前提に、非在支の医療機関が訪問診療を担う際の連携要件を整備し、24時間在宅医療の地域実装を促している。
訪問看護はこのネットワークの「現場センサー」として位置づけられるべきである。
評価軸も変わった。
介護報酬ではLIFEへのデータ提出を通じたアウトカム重視が進み、通所リハビリの事業所評価加算は廃止された。
現在のところ、訪問看護へのLIFEの導入はないが、今後は一気に導入される可能性が高い。
導入に対応するためにも、訪問看護は「提出のための記録」ではなく「改善のための記録」に徹し、転倒・褥瘡・嚥下・栄養・BPSD等の臨床KPIを管理し、プラン→実施→評価→再設計のサイクルを回す文化を事業所で構築するべきである。
さらに医療DXでは、オンライン資格確認等で取得した診療情報の活用を評価する「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設された。
2040年の標準像は、医科情報・薬剤情報・検査値・アレルギー・禁忌といったデータを訪問前に取り込み、リスク層別化と処置計画に直結させる「データ先行の訪問」である。
以上を踏まえた2040年のあるべき姿は次の通りである。
①24/365体制は労務保護・ICT前提で運用し、夜間対応は遠隔トリアージ+必要最小の出動で質と持続性を両立させる。
②在支診・在支病を基盤に、訪問看護が生活場面での異変を早期に察知し医師へ共有する体制が重要である。バイタルや服薬、栄養・嚥下を継続的に観察し、再入院を防ぐ地域連携を実現すべきである。
③LIFEと医療DXを統合し、臨床KPIを月次で見える化、利用者・家族にアウトカムを説明する。
④特定行為研修修了者やリハ・栄養・口腔の多職種とタスクシフト/シェアを徹底し、訪問1件あたりの価値密度を最大化する。
⑤経営は同一建物偏在を避けつつ巡回効率を上げ、地域の重症度分布に合わせて編成を柔軟に最適化する。
これらを実装する組織こそが、2040年の地域の生命線として機能する訪問看護である。
投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
