全国の通所介護事業所数が3年連続で減少している。
厚生労働省の最新統計によれば、2025年4月時点で全国のデイサービスは42,656か所となり、前年から362か所減少した。
特に地域密着型のデイサービスは減少幅が大きく、前年比で302か所の減少、ピーク時からは約24%も縮小している。
これまで増加傾向にあった通常規模型や大規模型の事業所ですら減少に転じたことは、業界の構造変化が加速している証左である。
背景には複合的な要因が存在する。
第一に、過剰供給による市場の飽和である。
介護保険制度の成熟とともに、全国各地にデイサービスが乱立し、需要を上回る供給状態が続いた。
その結果、地域によっては利用者の取り合いが常態化し、収益を確保できない事業所が増えていった。
こうした状況は必然的に淘汰を招く。
第二に、物価高の影響が大きい。
光熱費や食材費、送迎用燃料費の高騰は、介護報酬の上昇幅を大きく上回るペースで事業所の負担を増やしている。
特に小規模事業所にとっては経営難の直接的要因となり、サービス提供の継続を断念せざるを得ないケースが相次いでいる。
第三に、人材採用難の深刻化がある。
介護業界全体で人手不足が続く中、デイサービスも例外ではない。
特に経験豊富な介護職員や看護職員の確保が難しく、慢性的な人員不足に陥る事業所は増加している。
人材不足はサービスの質低下を招き、結果として利用者の離反や新規利用者獲得の失敗につながる。
さらに、質の低い所から撤退しているという側面も見逃せない。
利用者満足度が低く、リハビリやレクリエーションの質が不十分な事業所は、競争環境の中で自然と選ばれなくなっている。
これにより、市場から退出する事業所は増え、相対的に質の高い事業所だけが残る構造が進みつつある。
このように、デイサービス業界は淘汰の時代に突入している。
過剰供給の是正、物価高対策、人材採用の工夫、サービス品質の向上など、多方面での対応が求められている。
単に存続することを目的とするのではなく、地域において不可欠な役割を果たす存在として、利用者や家族から信頼されるサービスを提供し続けることが生き残りの鍵である。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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