リハビリテーションの現場では、経験を積んだ中年層の職員が多く活躍している。
一方で、年齢を重ねるにつれ、組織にとっての存在価値を見失い、いわゆる「お荷物」として扱われてしまうリスクも存在する。
これは本人にとっても、組織にとっても不幸なことである。
中年リハビリ職種がそうならないために、今こそ「組織への価値提供」の視点が求められる。
単に長く勤務している、経験年数が多いという事実だけでは、評価や信頼は得られない。
経験を活かし、後輩の指導、チームの潤滑油としての立ち回り、さらには経営的視点を持った発言と行動が求められる。
自らの専門性を活かして、組織に具体的な価値をもたらす存在でなければならない。
そのためには「なくてはならない人」になる必要がある。
特定の専門領域に強みを持ち、現場の課題を解決する能力、あるいは教育や研修を担う力を磨いていくことが求められる。
後輩から「この人の意見は聞くべき」と思われる存在、管理職から「この人がいないと現場が回らない」と評価される人材こそが、真に必要とされる人材である。
また、組織という大きな仕組みの中で自分の役割を理解し、「組織の歯車」として着実に機能することも重要である。
自分の好き嫌いで仕事を選ぶのではなく、組織の目標達成の一端を担っているという自覚を持ち、与えられた役割を確実に果たす姿勢が評価される。
特に中年期に差しかかった今だからこそ、「自己研鑽」を怠ってはならない。
変化の激しい医療・介護業界において、若手以上に学び続ける姿勢が信頼と説得力を生む。
技術、知識、マネジメント、制度理解など、学ぶべき領域は多岐にわたる。
時間がない、忙しいという言い訳は通用しない。
自らの成長に対して責任を持つことが、中年職員の品格である。

一方で、中年リハビリ職種にありがちなのが、「組織にぶら下がる姿勢」である。
表面的には真面目に勤務していても、変化を拒み、新しい業務には消極的で、責任を回避しようとする態度は、周囲には容易に見抜かれてしまう。
現場の空気を読み、必要な場面で積極的に行動できる人材こそ、信頼される存在となる。
中年という年齢は、現場の中核を担うべきタイミングである。
若手と管理職の間に立ち、双方の橋渡しをする貴重なポジションでもある。
その立場を自覚し、自らを律し、行動で信頼を積み上げていくことが求められる。
組織にとって「頼りになる存在」であり続けるために、今、自分の働き方を見直し、価値ある行動を積み重ねていくことが、中年リハビリ職種の未来を拓く第一歩となる。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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