がんの病期に応じたリハビリテーション

近年、医療機関だけでなく介護保険施設や在宅医療の現場においてがん患者を診る機会が増えている。

高齢者が増加する日本では、がん患者数も右肩上がりで増えている。

一方でがんの治療技術も発展しており、がんは不治の病ではなく、治療可能な疾患となり、生存率も著しく上昇している。

このような背景から、リハビリテーション職種ががん患者にリハビリテーションを提供する機会が増えている。

わが国においてがん患者にリハビリテーションを提供することが一般的になってきたのは2010年代からであり、比較的、新しい分野であると言える。

がんは慢性疾患であり、疾患の進行に伴い患者の状況が大きく異なる。

そのため、がんのリハビリテーションでは患者の状態変化に対応したサービスの提供が必要となる。

がんのリハビリテーションでは次に示す4つのステージがある。

□予防的リハビリテーション

がん診断後の早期からのリハビリテーション
手術や化学療法などの侵襲的な治療介入をする前の状態で行う
がんの術後に必要となる排痰、体位交換、セルフケアなどの予行練習を行う
重度な機能障害が生じていない状況で、有酸素運動による体力向上を図る

回復的リハビリテーション

がんの進行や治療に伴い生じる機能障害・能力低下に対して最大限の機能回復を図る
廃用症候群の予防、浮腫の改善、福祉機器や福祉用具導入、動作指導を行う
特にがん患者はフレイルやサルコペニアが生じやすいため、活動性の向上に対する介入が必要となる

維持的リハビリテーション

腫瘍の増大や転移により機能障害や合併症が進行している患者のセルフケア・運動能力を維持、改善を行う
自助具の使用、動作練習、拘縮予防、筋力向上、褥瘡予防などを行う
ADLの低下に伴い家族への介助指導も重要となる
家族の不安も増大する時期であり、家族支援が重要となってくる

□緩和的リハビリテーション

終末期のがん患者に対して、そのニーズを尊重しながら身体的、精神的、社会的に支援し、QOLの維持・向上に取り組む廃用症候群や長期臥床の影響により呼吸機能や嚥下機能の低下が著明となるため、呼吸リハビリテーション・嚥下リハビリテーションの関りが必要となる
医師や看護師と連携して癌性疼痛や浮腫の緩和にも関わる

以上のように、がんのリハビリテーションには患者の状況に応じた対応が必要であるため、患者の病期の判断が重要となる。

がんの病期を見誤らないためにも多職種としっかりと状況を共有することが重要である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デーサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。

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