本邦における要介護高齢者は増加傾向1)であり、介護を必要としている要因としては転倒が18.7%1)を占めるといわれている。
さらに、転倒後に骨折を受傷すると、心身機能低下を引き起こす可能性がある。
そのため、我々セラピストは利用者様をしっかりと評価し介入することで、転倒のリスクを限りなくゼロに近づけていく事が重要であると考える。
今回は転倒リスクを限りなくゼロに近づけていくための転倒予防に活かすバランス評価として、Short Form Berg Balance Scale(SFBBS)というバランス評価について述べていく。
バランス評価といえば、Berg Balance Scale(BBS)を想像する方は多いのではないだろうか?
BBSとは14項目からなり、各項目は0点から4点の5段階で得点付けされ、合計点は0点から56点となり、バランス評価として広く使用されている。
BBSは歩行能力の把握に有用である2)といわれているが、項目数が多いため時間がかかってしまったり、対象者の負担が大きくなってしまったりなど急性期や訪問リハビリテーションの現場においては評価が困難といった欠点がある。
SFBBSとはそのようなBerg Balance Scale(BBS)の欠点を改善するために開発されたもので、立ち上がり、床からの物品拾い上げ、閉眼立位保持、前方リーチ、後方への振り向き、タンデム立位保持、片脚立位の7項目を3段階(0.2.4点)で点数化したものである。
SFBBSの下位項目の採点方法は、BBSの5段階のうち1〜3点を2点として換算し28点満点で評価する。
また、点数だけでなく前方リーチの距離、タンデム立位保持や片脚立位保持時間も加えて記載すると、より効果判定などが行いやすくなるのではないかと考える。
次に、これらを評価しどのように転倒予防に活かしていくかについて述べる。
まず、SFBBSを行い点数が低かった項目について環境設定で対応できるかを評価する。
例えば立ち上がり動作で時間を要したり、立位保持でふらつく場合は、ベッド柵や据え置き型の手すりの設置、ベッド高を高くすることで立ち上がりから立位保持が安定するかを評価する。
また、振り向き動作や継ぎ足立位でふらつく場合には、室内での導線に置いて方向転換する箇所(居間⇆寝室、居間⇆玄関、寝室⇆トイレなどの導線)に手すりなどの支持物を設置し、方向転換での安定性を評価する。
もちろん、点数の低かった項目の動作を分析し評価を行うことで機能障害(問題点)を抽出しアプローチしていくことも必要である。
しかし、機能障害を改善していくにはある程度時間がかかってしまう。
そのため、機能障害にもアプローチを行いながら、環境設定を適切に行っていくことが転倒のリスクを減らしていくには重要であると考える。
このように、点数だけで転倒のリスクがあるかないかを判断するだけでなく、どの項目のどの動作が困難となっているのかについて評価していく事が重要であると考える。
参考文献
1)内閣府:令和元年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況
2)岸本淳也,野澤由己子・他:高齢者の大腿骨頚部骨折患者におけるBerg Balance Scaleの 有用性.東京保健科学学会誌.1998:1(1):87-92
投稿者
堀田一希

・理学療法士
理学療法士免許取得後、通所介護にて利用者支援を行っています。
臨床では多くの患者さんの主訴が”痛み”であり、痛みを改善するために理学療法士としての基礎である解剖学・生理学・運動学を中心に評価・治療を行なっています。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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