急性期・回復期・生活期のいずれの領域においても、利用者の高齢化は着実に進んでいる。
それに伴い、リハビリ職種が対応すべき範囲は確実に広がっている。
医療保険・介護保険のいずれにおいても、リハビリテーションの対象となる主たる原因疾患は、脳卒中や大腿骨頸部骨折などであることが多い。
しかし、実際には、多くの利用者が高血圧、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患などの内科系疾患を既往歴として併せ持っている。
そのため、リハビリテーションの実施中には、内科系疾患に起因する体調変化やリスクへの対応が求められる場面が少なくない。
たとえば、関節可動域練習や筋力増強練習に伴う痛みの把握と調整、立位・歩行練習時の循環動態や転倒リスクへの配慮などは、多くの現場で日常的に行われている。
一方で、内科系疾患そのものを理解し、その病態や薬剤、受診状況を踏まえて根拠をもって管理できているリハビリ職種は、まだ十分に多いとは言えない。
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その背景には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、内科系疾患について体系的に学ぶ機会が限られてきたという事情がある。
卒前教育・卒後教育ともに、脳血管疾患や運動器疾患に比べると、内科系疾患に関する学習機会は少なく、特別講義や断片的な研修にとどまることも多い。
また、内科系疾患の管理は医師や看護師の役割であり、自分たちはそこまで踏み込まなくてもよいと考えているリハビリ職種が一定数いることも否定できない。
実際には、利用者の服薬内容、受診状況、既往歴の変化を十分に把握しないまま関わっているケースも見受けられる。
しかし、高齢化が進む現場では、こうした知識不足は大きな落とし穴となる。
リハビリテーションの対象疾患だけを見ていては不十分であり、全身状態を踏まえて安全性と有効性を判断する視点がこれまで以上に重要になっている。
さらに、今回の2026年度診療報酬改定でも、多職種連携や医学管理、在宅医療との関わりがこれまで以上に重視される流れが示されている。
このような流れの中で、リハビリ職種にも、単に機能訓練を行うだけでなく、利用者の全身状態や併存疾患を踏まえて関与する姿勢が一層求められていると言える。
これからのリハビリ職種は、脳血管疾患や運動器疾患だけでなく、内科系疾患についても知識を高める努力を怠ってはならない。
高齢化が進む時代において、内科系疾患を理解したうえで利用者を支える力は、リハビリテーションの質と安全性を左右する重要な基盤になる。
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投稿者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を強みとする。
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